「広島2-3阪神」(29日、マツダスタジアム) 希望の光じゃ!広島の二俣翔一内野手(22)が5年目でプロ初の猛打賞をマークした。開幕から2試合連続「1番・右翼」で出場。異なる3投手から安打を放ち、自信を深めた。チームは3年連続の開幕カード…

 「広島2-3阪神」(29日、マツダスタジアム)

 希望の光じゃ!広島の二俣翔一内野手(22)が5年目でプロ初の猛打賞をマークした。開幕から2試合連続「1番・右翼」で出場。異なる3投手から安打を放ち、自信を深めた。チームは3年連続の開幕カード負け越しとなったが、シーズンはまだ始まったばかり。若鯉が好調なバットでチームを上昇気流に乗せていく。

 大歓声の中、躍動感満点に一塁へ走り出す。売り出し中の若鯉が敗戦の中で輝いた。二俣がプロ初となる1試合3安打。「得点につながるように、何でもいいから塁に出ようという気持ちで打席に立ちました」と1番打者の役割を全うした。

 三回2死で富田から今季初安打となる中前打を放ち、勢いに乗った。七回1死では石井に対し、追い込まれながら外角の直球を右前へ。1点ビハインドで迎えた九回1死は守護神・岩崎に2球で追い込まれるも、3球目の外角直球を右前に運んだ。タイプの違う3投手から安打を放ち、「投手が代わるごとに、相手の球種とかも見ながら整理して、打席に入ることはできています」と手応えを口にした。

 悔しさを胸に試合に臨んだ。28日は「1番・右翼」で初の開幕スタメンに名を連ねるも、4打数無安打に終わり、ほろ苦スタートを切った。一夜明け、この日も「1番・右翼」で出場。「切り替えて、何とか塁に出ようと。気持ちで負けないように」。昨秋からのアピールでつかみとったチャンス。2日連続無安打では終われなかった。

 22歳を突き動かすのは危機感だ。学年はドラフト1位・佐々木(青学大)らと同じ大卒1年目にあたる。「周りにはまだ若いと言われますけど、この世界は年齢は関係ない。すぐに代わりの選手が出てくるので、このチャンスを逃したくない。もう5年目なので」。育成出身だからこそ知っているプロの世界の厳しさ。1打席もむだにするつもりはない。

 開幕カードは父・豪良さん(52)も静岡から駆けつけ、スタンドで観戦している。今でも父には頻繁に電話をし、近況を報告するが、父からいつも言われる言葉が「常に謙虚であれ」。ここがスタートライン。足元を見つめ、ひたむきに努力を重ねる姿勢はこの先も変わらない。

 3安打はいずれも得点につながらずチームは開幕2連敗。1番打者として「勝たないと意味がない」と悔しさをにじませた。「1点差のゲームをしっかりものにできるように、バッティングだけじゃなくて、守備や走塁も全部やりたい。勝ちにこだわってやっていきたいと思います」。チームの勝利を目指し、自身の勢いそのままに打線をけん引する。