サッカー日本代表が、8大会連続となるワールドカップ本大会出場を決めた。今年初の活動となる3月シリーズで、第1戦のバーレーン戦を2-0で制し、世界最速での本大会行きを決めたが、5日後のサウジアラビア戦では0-0の引き分けに終わった。2026…
サッカー日本代表が、8大会連続となるワールドカップ本大会出場を決めた。今年初の活動となる3月シリーズで、第1戦のバーレーン戦を2-0で制し、世界最速での本大会行きを決めたが、5日後のサウジアラビア戦では0-0の引き分けに終わった。2026年の大会で優勝を目指す日本代表にとって、この2試合の意味することは何か? 今後、目標を達成するために必要なことを含め、サッカージャーナリストの大住良之と後藤健生が徹底的に語り合った!
■サウジ戦で「危ない」バックパス
――第1戦の立役者は久保建英とのことでしたが、その状況は続きそうですか。
後藤「今の状況では、そうなるんだろうね。もちろん、三笘薫でもいいだろうけど。4年前はいざというときは、最後に三笘を出して何とかしたじゃないですか」
大住「そう、三笘を温存していたからね。早く入れればいいのに、と思っていたけど」
後藤「カタール大会行きを決めたオーストラリア戦が象徴的で、最後に三笘を出して勝負を決めちゃった。そういう個の力で決め切る選手が複数いるというのも、今のチームのすごさだよね。サウジ戦だって、後半なかばに伊東純也と堂安律が出てきて、残り10分を切ってから南野拓実が出てくるんだから、ぜいたくなものだよね」
大住「だけど伊東はちょっとな、という感じだったな」
後藤「今回は、というか、所属クラブのスタッド・ランスで低調だもんね。ランス自体の成績が悪いし、その中で伊東のパフォーマンスも明らかに落ちているよね」
大住「そう、調子が良くなくて。去年の11月の中国戦でも悪かったよね。今回のサウジ戦でも、危ないバックパスがあったし」
後藤「そうそう、GKの鈴木彩艶がよく防いだけど」
■城福監督だったら「使わない」
大住「あれが、これが、とあげつらいたいわけじゃない。でも、バーレーン戦の先制点の場面が気にかかった。伊藤洋輝からパスが出て、受けた上田綺世がターン。久保建英がすごいタイミングで走り込んで、さらに鎌田大地が抜いていって、シュートを決めたでしょ。あのとき、左からは三笘薫がガ―ッと上がっていたんだけど、逆サイドの伊東を見たら、すごくのんびり走っていたんだよね。チャンスと感じて全速で駆け上がらないようなら、ちょっともう使えないんじゃないかなと思った」
後藤「そうだね、東京ヴェルディの城福浩監督だったら、もう使わないだろうね」
大住「そういうことが気になったのは、今回が初めてじゃない。去年11月の中国戦の失点場面でも、伊東がついていなければならない選手を足を止めて離してしまって、最後にゴール前でフリーの選手ができてしまい、失点につながった。最近の伊東は全体的にプレーの強度も精度も落ちている。ちょっと落ち方が激しいという感じがするよね」
■欧州シーズン後半戦の「難しさ」
後藤「本当に力が落ちて、このまま終わってしまうのか。あるいは今シーズンだけ、しかも後半戦に入っている現時点で調子を落としているだけで、いずれまた復活してもらえるのか。どちらかは分からないけど、少なくとも今の状態は良くないよね」
大住「運動量やスプリントの数や距離が落ちるというのは、伊東のような選手にとっては致命的に思えるけど、自分で修正できていくのかな。日本代表には他にああいうタイプの選手がいないだけに、ちょっと残念だし、怖いよね」
後藤「そうだね。今、ヨーロッパのシーズンが非常に深まっていて、疲れている選手も、調子が悪い選手もいた。逆に長いケガから復活したばかりの守田英正や上田綺世は、よくやってくれたなという感じがあるし。ヨーロッパのシーズン後半戦の時期に、それぞれが事情を抱えて集まっている、という現実が如実に表れた2試合だったんじゃないですかね」