「広島2-3阪神」(29日、マツダスタジアム) これぞ4番の仕事だ。阪神は1-2と勝ち越された直後の六回、森下翔太外野手(24)が今季1号となる逆転の2点本塁打を放った。藤川球児監督(44)から「新4番」を託された若虎が一発で試合をひっく…
「広島2-3阪神」(29日、マツダスタジアム)
これぞ4番の仕事だ。阪神は1-2と勝ち越された直後の六回、森下翔太外野手(24)が今季1号となる逆転の2点本塁打を放った。藤川球児監督(44)から「新4番」を託された若虎が一発で試合をひっくり返し、阪神が2年ぶりの開幕2連勝を飾った。
これが虎の新4番の一振りだ。白球は左翼スタンド2階席下「中国電力」の看板にドンッ。走り出した森下は「よっしゃー!」とガッツポーズで喜びを爆発させた。
「風もいい形で吹いてくれていた。打った瞬間はどうかなと思いましたけど、角度も良かったので、結果的に入ってすごくうれしいです」
1点勝ち越された直後の六回2死二塁。「チャンスで(打順が)くることを想定しながら常に練習から、ネクスト(バッターズサークル)からやっていた。あとは自分のバッティングをするだけ」と打席に向かった。床田の2球目、頭の中にあった内角直球にタイミングを合わせた。自己最速となる開幕2戦目での今季1号は、2連勝を導く逆転決勝2ラン。「いい形で2連勝できて、チーム自体もいい流れに乗れている」と喜んだ。
藤川監督から4番に指名されて迎えたプロ3年目は、気合も覚悟も昨年とは違う。「年数を重ねたのもありますし、自分の成績だけじゃなくて、チームことも考えないといけない立場」と森下。「レギュラーで出るからには、チームが勝たないといけない。そのために、自分ができることはしっかりやっていこうと思っています」と4番、主力としての自覚を持ちながら開幕までを過ごしてきた。
その姿は周りの目にも映っていた。1年目から指導してきた筒井外野守備走塁コーチは明かす。「自覚が元々ある子だけど、さらに強くなった。キャンプの時から、ただただ明るいキャラではなく、打撃で、守備でチームを勝たせていくんだという雰囲気はひしひしと感じます」。主力としての自覚については、昨年から同コーチも伝えてきたこと。「これまでは弟キャラみたいな感じだったけど、チームの中で話している内容や発言が変わってきた」と振る舞いに確かな成長が表れている。
「打率3割、30本塁打、100打点」の目標を掲げ、オフは打率アップのために中堅方向への強い打球を意識。インサイドアウトのスイングを徹底してきたが、「まだまだじゃないですかね。もっともっと状態を上げたい」と向上心を絶やさない。大仕事をやってのけても言葉は冷静だ。「ああいう場面で打つのが仕事だと思っているので、継続的にやりたい。まだ始まったばかりなので、明日に向けて頑張ります」。強い自覚と覚悟を持って、4番として成長を遂げていく。