中日から移籍したライデル・マルティネスに舞い込んだ初白星 セ・リーグ連覇を狙う巨人は、28日に本拠地・東京ドームで行われたヤクルトとの今季開幕戦で、5点ビハインドをひっくり返し延長10回6-5でサヨナラ勝ち。打線の底力を示す一方、リリーフ…
中日から移籍したライデル・マルティネスに舞い込んだ初白星
セ・リーグ連覇を狙う巨人は、28日に本拠地・東京ドームで行われたヤクルトとの今季開幕戦で、5点ビハインドをひっくり返し延長10回6-5でサヨナラ勝ち。打線の底力を示す一方、リリーフ投手陣の層の分厚さも見せつけた。昨季中日で最多セーブのライデル・マルティネス投手(昨季60試合43セーブ、防御率1.09)が加入し、大勢投手(昨季43試合29セーブ、防御率0.88)と万全の“ダブルストッパー体制”を敷いている。
まずは無難な移籍後初登板となった。5-5の延長10回に4番手で登板したマルティネスは、先頭の西川遥輝外野手を左飛、岩田幸宏外野手を中飛、長岡秀樹内野手を捕邪飛に仕留め、3者凡退で終えた。ストレートは最速153キロを計測し、スライダー、スプリットもまじえた。その裏に若林楽人外野手がサヨナラ打を放ち、マルティネスに白星が舞い込んだ。
この日の巨人の継投は、2年連続開幕投手の戸郷翔征投手が5回4失点(自責2)で降板し、2番手の堀田賢慎投手も6回、ドミンゴ・サンタナ外野手に1号ソロを被弾。しかし0-5とリードされて迎えた8回から登板した3番手・泉圭輔投手は2イニングをパーフェクトに抑え、逆転ムードの醸成に一役買った。
現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「泉は残念ながら、現状の巨人では“勝ちパターン”の投手ではない。劣勢の試合でそういう投手が踏ん張ると、なんとかなることもあるという、いい例だと思います」と指摘する。
この日は登板機会がなかったが、「巨人にはまだ大勢がいて、(アルベルト・)バルドナード(昨季58試合、防御率2.44)がいて、高梨(雄平=昨季51試合、防御率2.04)がいて、昨季新人王の船迫(大雅=昨季51試合、防御率2.37)もいる。2軍には(カイル・)ケラー(昨季52試合、防御率1.53)も控えている。どれだけいるんだと言いたくなりますよ」と野口氏は苦笑した。
ヤクルトは期待の新外国人が故障離脱…小澤、大西も出遅れ
比較するのは酷かもしれないが、ヤクルトのリリーフ陣は開幕早々、厳しい状況だ。守護神候補として期待されていた新外国人マイク・バウマン投手が、3月中旬に上半身のコンディション不良で離脱。昨季チーム最多の11セーブを挙げた小澤怜史投手、1セーブ23ホールドだった大西広樹投手も出遅れている。
この日は初の開幕投手を務めた先発・奥川恭伸投手が6回7安打無失点と踏ん張った。ところが、5-2とリードして迎えた9回に登場した田口麗斗投手が、5安打1死球の乱調で同点に追いつかれ、延長10回に清水昇投手がサヨナラ打を許した。
「ヤクルトにとって田口は、自信を持って送り出したクローザーではない。継投は探り探りで、“田口が打たれて負けたのならしかたがない”と言える状況ではありません。そこがしんどいところです」と野口氏。それでも「緊急補強といっても、そう簡単にはいかないでしょうし、いるメンバーでやっていく以外にない」とOBとして奮起を求める。一方で、「泉が現状のヤクルトにいたら、クローザーでしょうね」と本音も漏らした。
抑えを任されてもおかしくない泉が、“勝ちパターン”の継投にも入れないところに、巨人投手陣の桁違いのレベルの高さが表れている。マルティネスまで加えたリリーフ陣の安定感は12球団随一だろう。長丁場のレギュラーシーズンで他球団が巨人の牙城を崩すのは、容易ではなさそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)