来日初打席で初球をフェンス直撃二塁打、第4打席で右翼席中段へ1号 不振だったオープン戦とは別人のようだ。巨人は28日、本拠地・東京ドームで行われたヤクルトとの今季開幕戦で、7回終了時点での5点ビハインドをひっくり返し、延長10回の末6-5の…

来日初打席で初球をフェンス直撃二塁打、第4打席で右翼席中段へ1号

 不振だったオープン戦とは別人のようだ。巨人は28日、本拠地・東京ドームで行われたヤクルトとの今季開幕戦で、7回終了時点での5点ビハインドをひっくり返し、延長10回の末6-5の逆転サヨナラ勝ちを収めた。27歳の新外国人、トレイ・キャベッジ外野手はいきなり1号2ランを含む4打数3安打2打点と活躍。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「オープン戦と比べると、スイングにキレが出てきました」と分析する。

 左の大砲の本領発揮である。キャベッジは初回無死一塁の場面で来日初打席に立ち、ヤクルトの開幕投手・奥川恭伸投手の初球のストレートを迷わず振り抜いた。打球は右翼フェンス直撃の二塁打となり、幸先の良いスタートを切った。

 試合の流れを変えたのが第4打席だ。0-5とリードされて迎えた8回無死一塁。ヤクルト3番手の左腕・山本大貴投手に対しカウント3-2から、外角高めのスライダーをとらえると、打球はあっという間に右翼席中段へ飛び込んだ。この来日初本塁打が、反撃ののろしとなる。2点ビハインドの9回1死一、三塁という一発逆転サヨナラの場面では、右手に死球を受けて怒りをあらわにしたが、日本でのデビュー戦として文句のつけようのない内容だった。

 野口氏は「オープン戦では何でもかんでも力任せに振りにいっている印象でしたが、コンパクトに振り始め、お陰で軸がぶれずにバットが素直に出ていました」と解説する。キャベッジはオープン戦14試合で打率.214(42打数9安打)、0本塁打3打点と振るわず、特に三振が44打席で14個(約32%)と非常に多かった。

巨人打線の課題は…「岡本の後ろの5番を誰に任せるか」

“変身”のきっかけの1つは、打順にもありそうだ。キャベッジは今月中旬まで5番を打つことが多かったが結果が出ず、オープン戦期間終盤には7番、6番、1番などで起用された。

 野口氏は「巨人打線の課題は、主砲・岡本(和真内野手)の後ろの5番を誰に任せるか。ここに調子のいい打者を置けば、岡本と勝負してもらえるケースが増えますから。もし、キャベッジがオープン戦でそこそこの数字を残していたら、5番で開幕を迎えていたと思います。状態が良くなかったので、他の選手の中で誰が5番に適任かを考えた時、オープン戦で2番を打っていた(エリエ・)ヘルナンデス(外野手)という答えになり、入れ替えたのだと思います」と分析する。結果的に、これがハマった。

「メジャーでは近年、最強打者を2番に置くことが多い。そういう意味でも、キャベッジは決して悪い気分ではなかったと思います」とも野口氏は付け加える。

 丸佳浩外野手が故障で開幕1軍メンバーから外れたが、「1番・左翼」で出場した若林楽人外野手も、サヨナラ打を含め6打数4安打2打点。阿部慎之助監督が抜擢した1、2番コンビが見事に功を奏した。

「巨人打線は昨季、打棒を振るっていたヘルナンデスが8月に左手首を骨折し戦列を離れると、3番の吉川(尚輝内野手)と4番岡本頼みとなり得点力が落ちました。その点、今季は周りでフォローできる態勢が整っていると感じます」と語る。覚醒した新助っ人が2025年の巨人打線を牽引するか……。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)