(28日、プロ野球 阪神タイガース4―0広島東洋カープ) 球審が「プレーボール」を告げて、およそ5分後のことだった。一回1死一塁から、阪神の佐藤輝明は甘く入ったチェンジアップをとらえた。 右越えの先制2ランに「1番良いスタートがきれて最高…

 (28日、プロ野球 阪神タイガース4―0広島東洋カープ)

 球審が「プレーボール」を告げて、およそ5分後のことだった。一回1死一塁から、阪神の佐藤輝明は甘く入ったチェンジアップをとらえた。

 右越えの先制2ランに「1番良いスタートがきれて最高です」。2025年のプロ野球「第1号」で、今季から指揮を執る藤川球児監督に先取点をプレゼントした。

 就任にあたって、藤川監督は中軸の並び方にこだわった。特に重視したのが、3番。そこに佐藤輝明を据えた。開幕前日は「初回に必ず打順が回る佐藤の活躍とともに、シーズンを進めていきたい」と名指しで期待した。

 投げては、昨秋のキャンプ中に初の開幕投手を託された村上頌樹が、力強い直球を軸に好投。九回2死まで4安打無失点に抑えた。

 佐藤輝、村上はともに大卒5年目の26歳。日本一となった一昨年は、村上は10勝、防御率1.75で最優秀防御率のタイトルを取り、佐藤輝は中軸として24本塁打、92打点と活躍した。

 あれから2年。選手の顔ぶれは当時と大きく変わらないが、チームは円熟期を迎えつつある。

 球団創設90周年を迎え、目指すはリーグ制覇と日本一しかない。2019年に元号が令和に変わってから12球団で唯一、全ての年でAクラス入りしているのが阪神。強さを継続するためにも、44歳の新監督は、この2人にチームの核として更なる成長を促している。

 「選手たちは心強い。良い初日になった」と藤川監督。最高の船出となった。(大坂尚子)

 村上(神) 九回2死まで無失点。「(佐藤)輝が2ランを打ってくれて楽な気持ちで(マウンドに)上がれて、無失点投球になったと思う」

■広島、好機に得点できず

 得点力向上が課題の広島は、零封負け発進となった。九回は1死一、三塁で新外国人のモンテロが二飛、秋山は三振。三回にも好機を作ったが、得点できず、7回被安打4と好投した先発・森下を援護できなかった。指揮官として3季目の新井監督は今年も開幕戦勝利を挙げられなかったが、「まだ1試合だけだから。打線は徐々につながってくると思う」。

 森下(広) 7回被安打4、2失点。一回に先制2ランを浴び、「結果がすべて。いい流れを作りたかったけれど、ああいう形になって残念です」。

 岡本(広) 甲南大初のドラフト指名を受けた新人。九回の初登板を無失点に抑え、「緊張はあった。次は、チームを勢いづけられる投球を見せたい」。