◆プロボクシング▽IBF世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 アンヘル・アヤラ―矢吹正道(29日・愛知県国際展示場) 日本人初の2階級同時制覇に挑む矢吹正道が28日、愛知・名古屋市内での前日計量に臨み、IBF世界フライ級王…
◆プロボクシング▽IBF世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 アンヘル・アヤラ―矢吹正道(29日・愛知県国際展示場)
日本人初の2階級同時制覇に挑む矢吹正道が28日、愛知・名古屋市内での前日計量に臨み、IBF世界フライ級王者のアンヘル・アヤラとともに一発クリアした。1階級下のIBF世界ライトフライ級(48・9キロ以下)王座を保持し、勝てば2階級のベルトを同時に獲得するが、どちらを保持するかは試合後1週間以内に決めなければならい。矢吹は「KO決着」でのフライ級王座奪取を宣言し、偉業達成とともにライトフライ級王座の返上を予告した。
サングラスの奥の瞳は、ギラギラと燃えていた。昨年10月に2年7か月ぶりに世界王座に返り咲き、ステップアップして挑む1階級上のフライ級王座だ。矢吹は「1ラウンドから面白い展開になると思う。KO決着になる。楽しみにしていてください」と全身から自信をにじませながら予告した。
ライトフライ級の世界王座を保持したまま、IBFフライ級王者となれば、日本人初の2階級同時制覇の達成となる。世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(31)=大橋=も、4本のベルトを保持したまま1階級上のフェザー級に挑戦するプランを明かしたばかりで、モンスターが成し遂げていない偉業をお先にかっさらう。「2階級制覇はあとからついてくる。勝つのがまず目標」と意気込んだ。
フライ級進出を決断したきっかけはライトフライ級での減量苦。以前の減量幅は6キロだったが、汗を出すための岩盤浴で倒れたり、体力が落ちすぎて浴槽から立ち上がれず、水をすべて抜いて浴槽から出ることもしばしば。「頭が真っ白になって応援してくれている人の顔が浮かんで」と、走馬灯がよぎったこともあったという。リミットは48・9キロから50・8キロとなり減量幅は4キロに減った。お陰で「今回は死ぬほど脱水せずに済んだ」。減量期間中には口にできなかったゼリー飲料も摂取し調整した。
勝てば同時に保持する2本のベルトは1週間以内にどちらかを選ばなければならない。だが、矢吹に迷いはない。「ライトフライではもうやらない。ここから勝って、フライの体をつくってやっていきたい」。フライ級には1勝1敗の宿敵、寺地拳四朗(33)=BMB=が、WBC&WBA世界統一王者として君臨する。リングネームの由来は漫画「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈。「明日が楽しみ。すべて上回って勝ちたい」。野望に満ちた瞳はギラギラに燃えていた。(森脇 瑠香)
◆主な複数階級同時制覇 19年11月、サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)は、ミドル級、スーパーミドル級の王座を保持したままWBO世界ライトヘビー級タイトルマッチに勝利し、3階級同時制覇。20年10月、WBA世界ライト級王者ジャーボンテイ“タンク”デービス(米国)は同スーパーフェザー級スーパー王者と2階級同時タイトルマッチを戦い6回KO勝利。21年6月の次戦で、同スーパーライト級王座も獲得し、3階級の世界王座同時保持となった。
〇…初防衛戦に臨むアヤラは「100%に仕上げてきた。アステカ戦士として、日本のファンに魂を震わせるような戦いを見せたい」と決意を口にした。ネックレスをつけたまま計量を600グラムアンダーでクリアし「メキシコ人は簡単な気持ちでオーバーするが、私は規律を守っている」ときっぱり。「私のニックネームは『カメレオン』。変幻自在に戦える」と自信をみなぎらせていた。
〇…プロモーターの元世界3階級制覇王者・亀田興毅ファウンダー(38)は「(プロモート興行の)『3150×LUSHBOMU』が始まって初めての2デイズ。プロモーターになって3年で世界戦を14回開催してきた。今回も素晴らしい試合になると思うので、応援よろしくお願いします」とあいさつ。横山の4戦目での世界挑戦プランについて「そういう世界戦をプロモートできるのであれば、僕自身もうれしいこと」と期待を寄せた。