◆フィギュアスケート 世界選手権第2日(27日、米ボストン) ペアフリーが行われ、ショートプログラム(SP)1位から出た三浦璃来(23)、木原龍一(32)組=木下グループ=が、フリーは143・22点、合計219・79点で2大会ぶり2度目の優…
◆フィギュアスケート 世界選手権第2日(27日、米ボストン)
ペアフリーが行われ、ショートプログラム(SP)1位から出た三浦璃来(23)、木原龍一(32)組=木下グループ=が、フリーは143・22点、合計219・79点で2大会ぶり2度目の優勝を果たした。今季自己ベストのフリーは2位で、銀メダルのドイツペアに0・71点の小差で逃げ切った。来年2月のミラノ・コルティナ五輪の予選を兼ねた今大会で、日本はペアで五輪出場枠を1つ確保した。男子SPは初制覇を狙う前回銀の鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=が今季自己ベストの107・09点をマークし、2位発進した。
2年ぶりの歓喜に、木原は雄たけびを上げ、三浦は泣いた。フリーは2位でドイツペアに猛追されたが、0・71点差で逃げ切りV。得点発表を待つ「キスアンドクライ」で結果が出ると抱き合い喜びを分かち合った。場内の勝利者インタビューで、木原が「今、とても興奮していて英語を忘れてしまった」と英語で話すと場内は爆笑だ。来年のミラノ・コルティナ五輪の1つ目の出場枠を日本にもたらし、三浦も「優勝することができて本当によかった」と感無量だった。
SP1位から出たフリーは、わずかなミスがありながらサイドバイサイドの3連続ジャンプ、スロージャンプなどを着氷。木原の力強いリフトでは、大きく加点を引き出した。19年8月の“りくりゅうペア”結成から6季目。円熟期にあるペアの今大会のテーマは「楽しむ」。フラメンコの音楽に乗り情熱的な世界観を表現。完成度の高いプログラムで観客を魅了した。
世界選手権で初めて勝った2季前は、主要国際大会を全制覇する「グランドスラム」を達成。だが昨季以降、木原の腰痛や三浦の肩の故障などで勝てない試合が続いた。今季も序盤で木原が腰の違和感を訴え、練習量をセーブ。2季ぶり制覇を狙った昨年12月のGPファイナル2位などの焦りから、いつしか楽しむことを忘れていた。周囲から雰囲気の暗さを指摘され、2人で話し合った。「練習で失敗したとしても、次にやり直せる」という三浦の言葉に木原がハッとした。りくりゅう最大の持ち味である「楽しむ」心を取り戻した。
2大会連続の出場を目指す来年2月の五輪に向けても出場枠を1つ確保した。りくりゅうとして初出場の22年北京は、日本勢初入賞の7位。五輪に次ぐ格付けの世界選手権でも4大会連続でメダルを獲得し、ミラノ五輪ではペア日本勢初の表彰台を飛び越え、金メダルを予感させる。「来シーズンは、初戦から楽しんでいく。私たちらしいスタイルを初戦から出していけるようにしていきたい」と木原。心身共に完全復活したりくりゅうが、充実の五輪シーズンを迎える。
◆りくりゅうに聞く
―演技直後の心境。
木原「(優勝に)ぎりぎり届くか、届かないかという思いもあったが、出し切ったな、疲れたなという気持ちの方が強かった」
―演技内容は。
木原「(2人が並んでジャンプを跳ぶ)サイドバイサイドが今季やっとそろった。来季に向けていいステップになった」
―勝った瞬間の心境。
三浦「昨季、龍一君が(腰椎分離症の)大きなけがを負った。滑りたいけど滑れない葛藤も見てきた。それを乗り越えられて本当に良かった」
―前回優勝時との心境の違いは。
三浦「1度目の優勝は、ただただうれしいだけだったが、この2年間、苦労やうまくいかないことがあった中で優勝できた。いろんな感情が交ざり合って、それでもすごくうれしい」
◆りくりゅうの主な日本初
▽世界選手権 23年大会で日本勢初の優勝。22年大会では銀メダルを獲得しており、日本選手同士のペアとして初の快挙。ペアの4大会連続メダルも初。
▽GPシリーズ 22年10月のスケートカナダで日本勢初制覇。同年11月のNHK杯も制し、ペア日本勢初のGP連勝。21年10月のスケートアメリカで2位に入っており、日本選手同士のペアでの表彰台は初めてだった。
▽GPファイナル 22年12月のイタリア・トリノでの大会で、ペア日本勢初の制覇。その1シーズン前には日本選手同士初のGPファイナル進出も決めた。ただし大会は新型コロナの影響で中止。
▽五輪 22年北京大会で五輪初出場、7位。日本勢で初めての入賞。
▽年間グランドスラム 22―23年シーズンは世界選手権、四大陸選手権、GPファイナルで優勝。同一シーズンの主要国際大会を全制覇する「グランドスラム」を全種目通じて初めて達成。
◆木原 龍一(きはら・りゅういち)1992年8月22日、愛知県生まれ。32歳。中京大卒。4歳からスケートを始め、シングルで11年世界ジュニア男子代表。13―14年シーズンからペア転向。五輪は高橋成美と組んで14年ソチ、須崎海羽と18年平昌、三浦璃来と22年北京に出場。174センチ。
◆三浦 璃来(みうら・りく)2001年12月17日、兵庫県生まれ。23歳。大阪・向陽台高から中京大卒。スケートは5歳から。15―16年シーズンからペアに転向し、市橋翔哉と組む。19年8月に木原龍一と新ペアを結成。幼少期に空手経験があり、得意技は回し蹴り。146センチ。