「広島0-4阪神」(28日、マツダスタジアム) 虎の大砲がシーズン到来を告げる快音を奏でた。プロ野球は28日、セ、パ両リーグの公式戦が開幕。2年ぶりの優勝を目指す阪神は、佐藤輝明内野手(26)が初回1死一塁で、12球団最速となる2ランをマ…

 「広島0-4阪神」(28日、マツダスタジアム)

 虎の大砲がシーズン到来を告げる快音を奏でた。プロ野球は28日、セ、パ両リーグの公式戦が開幕。2年ぶりの優勝を目指す阪神は、佐藤輝明内野手(26)が初回1死一塁で、12球団最速となる2ランをマークした。藤川球児監督(44)の初陣でもあった敵地の一戦で、勝利をプレゼントする鮮やかなアーチとなった。

 きれいな快音にスタンドからの歓声とため息が交錯する。選手もファンも待ちに待った、2025年のプロ野球開幕。佐藤輝の豪快弾が野球の楽しさを思い出させた。「開幕戦で打ちたいなと思っていたところがあったので良かった」。自身初の開幕弾は12球団1号。藤川監督の初勝利へ、アーチをかけた。

 初回1死一塁。プレーボールから数分後での一発だった。カウント1-1から森下のチェンジアップを強振。最後は右手一本ですくい、フェンスオーバーを確信した。「うまく反応できた。一番いい形で、いい結果になって良かった」。バットを高々と掲げて、ゆっくり走り出す。三塁を回ると、右手を天へ。森下とはジャンプしながら、肘タッチした。ベンチ前では両手を天へ。これ以上ない、最高の滑り出しとなった。

 ここ2年はスタートダッシュに苦しんだ。23年は3、4月で打率・215。昨季も同月に打率1割台と低迷した。今季は3番を任され、必ず初回に打順が巡る。「何となくスムーズにいける感じはする。いいんじゃないかと思います」。守備でも3度の守備機会を無難にこなした。

 春季キャンプから覚悟が違った。全体練習後や試合の後には、室内練習場でトスマシンを相手に一人で振り込み。視察に訪れていた、球団OBの福留氏が「あんな姿、初めて見たな」と言葉を漏らすほど、今年にかける思いが伝わってきた。

 ある日の全体練習後は嘉勢打撃投手に「投げてください」と頼んだ。昨年まではなかったこと。「初めて言われたよ。あいつ相当やろうとしてる」と同打撃投手。クリケットバットを使っての練習も糸井臨時コーチに言われたわけではなく、自主的に始めたこと。「体制が変わって、やりたいことはすごいできてる。それは去年までとは違うかなと思いますね」。藤川監督から「姿勢」を求められたが、しっかりと背中で見せていた。

 藤川監督からは開幕前日にもイチオシ選手として指名された。アグレッシブなプレーを期待される中で、初回から一撃。マツダのアウェーの雰囲気に警戒していたが、一気に黄色の空気を吹き入れた。「佐藤が素晴らしい一本を打ってくれましたね」と指揮官も大絶賛した。

 23年以来、2年ぶりの開幕勝利。シン・猛虎打線のキーマンがいきなり火を噴いた。「またいい流れで明日に向けて頑張りたい。初戦としては良かった」。たかが1勝、されど1勝。佐藤輝が導いた、この勝利には大きな価値がある。