(28日、第97回選抜高校野球大会準決勝 横浜5―1健大高崎) 横浜の2年生右腕、織田翔希がついに目覚めた。 一回1死…
(28日、第97回選抜高校野球大会準決勝 横浜5―1健大高崎)
横浜の2年生右腕、織田翔希がついに目覚めた。
一回1死一、三塁のピンチ。相手の中軸を迎えて、腹を決めた。9球連続の直球勝負。捕手の駒橋優樹と内角攻めでいこうと話しあった通り、最後は胸元いっぱいの147キロを投げ込み、2者連続三振を奪った。
1年夏から主力を担い、明治神宮大会で1完封した本格派。だが、初の甲子園では爪を割るなど調子が出ていなかった。2回戦は三回途中4失点。「心の弱さがあった」。3年生エース奥村頼人に救われてきた。
準々決勝で16安打を放った強打の前回王者との一戦。前夜、村田浩明監督に「怪物になるチャンスだぞ」とハッパをかけられた。初めて言われた「怪物」というフレーズ。その重みを、織田も分かっていた。
迎えた大一番。リスク覚悟の内角攻めで自信を取り戻した。四回からは相手エース石垣元気との投げ合いに。「ここを投げ勝てば成長につながる」。大会屈指の右腕との対決を楽しむ余裕も生まれた。しつこいほど内角を要求する駒橋のリードに応え、今大会最長の7回を無失点に封じた。殻を破った103球だった。
この日の朝、松坂大輔らを育てた渡辺元智・元監督から電話で「力まず投げなさい」と激励された。強豪復活の期待を背負う織田は試合後、「怪物になりたい」と言った。松坂のような存在を目指す。強気な宣言は、そんな覚悟の表れだった。(大宮慎次朗)
▼前年の神宮王者の選抜決勝進出は3年ぶり 第94回(2022年)で優勝した大阪桐蔭以来。2000年以降、明治神宮大会の優勝校が翌年の選抜大会決勝に進出するのは横浜が7例目。