今シーズンは低調な走りに終始していたローソン。しかし、開幕2戦での交代は異例であった。(C)Getty Images 3月27日、F1のレッドブルは、4月4日から鈴鹿サーキットで開幕する日本GPから、姉妹チームのレーシングブルズの角田裕毅を…

 

今シーズンは低調な走りに終始していたローソン。しかし、開幕2戦での交代は異例であった。(C)Getty Images

 

 3月27日、F1のレッドブルは、4月4日から鈴鹿サーキットで開幕する日本GPから、姉妹チームのレーシングブルズの角田裕毅を昇格させることを発表した。

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 異例の決定だった。角田と入れ替わる形となったリアム・ローソンは、今季から昇格したばかりだったが、開幕から成績が低迷。予選や決勝で最下位になったほか、リタイアなど失態を繰り返し、レッドブル内でも再評価する動きが加速していた。

 一方で開幕から好調を維持していた角田の実力が高く評価され、緊急昇格に舵は切られた。この電撃的な人事において奇しくもクローズアップされているのは、ローソンが放った日本人レーサーに対する発言だ。

 3月21日から行われた中国GPの直前に英紙『Telegraph』でローソンは「(レッドブルに選ばれなかった)ツノダに同情はする?」と問われ、「正直、それはない」とキッパリ。「この世界で、そんな感情は禁物だ。僕らは下部カテゴリーから一緒に走ってきて、ユーロフォーミュラオープンではユウキとチームメイトだったし、そこで僕は彼に勝っている」と強調し、「チームは僕を選んだ。ユウキではなく、ね。今は僕の時代がやってきたんだ」と続けた。

 あくまで競争社会に身を置く者としての主張ではあった。しかし、皮肉にもわずか1週間で立場は一変。成績不振をシビアに評価された形となったローソンの角田に対する言動は、母国メディアでも「惨め」として切り取られている。

 ニュージーランドの日刊紙『The New Zealand Herald』は「F1の世界ではすぐに因果応報がやってくる」と指摘。角田を引き合いに「僕の時代がやってきた」とまで言い放ったローソンに対して「若きニュージーランド人の“時代”は今シーズン24レース中わずか2レースしか続かなかった。メルボルンと上海での惨めなパフォーマンスにより、雇用主は慣例ともいえる冷酷さで大ナタを振るった」と断じた。

 もっとも、同紙は異例のスピードでの交代劇に疑問も投げかける。母国の俊英に対するレッドブル首脳陣の扱いを「無礼とも言える早さ」と糾弾。「ツノダの昇格はチームにとってまさしく変化を告げるものだが、フェルスタッペンにふさわしいパートナーを見つけようとする不安は、チームのパニックのように怪しく見え始めている」と論じた。

 無論、緊急昇格を受けた角田だが、重圧も桁違いとなる“常勝軍団”レッドブルでは、この交代が「正解だった」と言わせるだけの結果がすぐに求められる。マシンに慣れる時間も限られるが、差し迫った日本GPでの走りに期待したい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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