<第97回選抜高校野球大会:横浜5-1健大高崎>◇28日◇準決勝◇甲子園 昨年の優勝チーム、健大高崎(群馬)が、横浜(神奈川)に敗れ、連覇を逃した。 先発の下重 賢慎投手(3年)が4回途中、2失点で降板すると、2番手で登板したエース・石垣 …

<第97回選抜高校野球大会:横浜5-1健大高崎>◇28日◇準決勝◇甲子園

 昨年の優勝チーム、健大高崎(群馬)が、横浜(神奈川)に敗れ、連覇を逃した。

 先発の下重 賢慎投手(3年)が4回途中、2失点で降板すると、2番手で登板したエース・石垣 元気投手(3年)も5回に横浜打線に集中打を浴びてしまった。先発の下重は降板してベンチに下がったとき、こみあげてくる悔しさを必死にこらえていた。

 力は十分に出し切った。相手が一枚も二枚も上だった。横浜打線相手に持前の緩急をつける投球を見せた。高めにいかないように、低め低めに丁寧に投げ込んだ。しかし、横浜打線が強いゴロを打つ意識で対応され、1回、3回に失点を許した。降板した4回途中まで、フライアウトはわずか1つ。下重の投球がゴロを誘った結果でもあった。敗れてしまったが胸を張っていい内容だった。

 連覇を狙った今大会。石垣が脇腹を痛めるアクシデントに見舞われるなか、初戦の明徳義塾(高知)戦、2回戦の敦賀気比(福井)に先発。初戦は延長10回136球を投げて完投勝利を手にした。敦賀気比戦でも9回途中まで3失点で奮闘した。石垣が復活するまで、健大高崎の投手陣を引っ張る存在となり、連覇の重圧をはねのけてチームを支えた。

 昨年優勝の立役者でもあった佐藤 龍月投手(3年)も、手術してセンバツは投手としての出場は断念していた。投手陣を支え続けたのは、まぎれもなく下重だった。試合後、左腕の目には涙があった。いろんな思いが入り混じった感情がこみ上げたに違いない。

 この涙を見たとき、下重が夏にさらに大きく成長して甲子園に戻ってくることを確信した。