<春季愛知県大会西三河地区決勝トーナメント1回戦:三好 7―6 刈谷工科>27日◇刈谷球場 昨年秋の西三河地区大会は1位校として県大会に進出した三好。近年は、西三河地区の上位常連校となっている。県内では珍しく、県立校ながら寮も保有しており、…

<春季愛知県大会西三河地区決勝トーナメント1回戦:三好 7―6 刈谷工科>27日◇刈谷球場

 昨年秋の西三河地区大会は1位校として県大会に進出した三好。近年は、西三河地区の上位常連校となっている。県内では珍しく、県立校ながら寮も保有しており、部活動も盛んな学校である。今春も豊田西、人環大岡崎といった、力のある相手を下しての決勝トーナメント進出である。

 刈谷工科は、昨春には多くの新入生が集まったことで注目されたが、今春の一次トーナメントでは猿投農林、岡崎北に勝っての決勝トーナメントである。多く入部してきた選手らが1年を経てどれだけ成長して戦力になってきているのか。

 前半は細かく点を取り合う展開となった。初回に刈谷工科はクリーンアップの3連打で先制する。しかし、三好は2四球の走者を5番小塚 朗葉選手(3年)が返してすぐに同点。3回に刈谷工科は3番佐々木 亮哉選手(2年)が右越三塁打して、中継が乱れる間にそのままホームイン。ところがその裏、三好も無死満塁から、右飛で本塁アウトの併殺になりながらも、二死三塁から5番小塚選手がまたしてもタイムリー打で同点とした。

 さらに4回にも三好は早くも3人目となった鵜飼 竜翔投手(2年)の代わり端を斉藤 琉太選手(3年)が叩いて左翼線二塁打。バントで進めて、1番田中 凌矢選手(3年)がセーフティースクイズを決めてリード。

 しかし直後の5回、刈谷工科は1番からの好打順で、この会かに登板した長屋 亮汰投手(3年)を攻めた。小林 駿矢也手(3年)が左前打するとバントで進み、さらにバント安打で一死一、三塁。4番藤井 那路選手(3年)の右前打で同点とする。なおも二死二、三塁となった場面で、6番中西 希虎捕手(2年)が右前へ2点タイムリー打して、この回3点が入り逆転となった。

 刈谷工科は8回にも二死二塁から、小林選手が左翼線二塁打で、さらに1点を追加。6回からリリーフしていた齋藤 瑛太投手(2年)が力のある球を投げ込んでおり、試合の流れからも、この1点は大きいと思われた。

 ところがさすがに三好は勝負強かった。このまま引き下がるわけはなく、8回裏は一死から四球後8番安藤 丈世利選手(2年)が左前打で繋ぐと、代打の切り札という近藤 竣揮選手(3年)が期待に応えて右中間へ運ぶ三塁打で2人を帰した。そして内野ゴロで生還して同点。こうなったらタイブレークもありかと思われたが、2番長藤 大和選手(3年)が内野安打で出ると、四球で塁を進める。そして、一か八かの三塁盗塁の送球が大きくそれて労せずしてホームイン。結局これが決勝点となった。

 9回の三好は、昨秋、愛知県選抜に選出された好投手・渡邊 昂太投手(3年)が3人をピシャリと抑えて鮮やかな逆転勝ちとなった。

 岡田泰次監督は「完全に負け試合でした。だけど、選手たちは勝負強さを示してくれた。いろいろ試したいところもあったのだけれども、起用した選手がよくやってくれた。ウチだけではなく、今の生徒たちは追いかける展開に弱いんだけれども、そうした中でこういう試合をひっくり返したということは大きい。ここまで来たら、最低でも県大会のシード(決勝進出で獲得)は取りたい」と、苦しい展開ながらも勝っていったことに安堵していた。

 母校の大府から異動して3年目となる刈谷工科の野田雄仁監督は、「チームとしては、少しずつだけれども、ようやく何とかまとまってきたかなという感触はあります。去年多く入ってきてくれた新2年生になる選手たちも、最後に投げた齋藤や捕手の中西などが力をつけてきてくれて、自分たちのやるべきことをしっかりやってくれている。県大会と全三河大会にも出られるので、さらに経験を積んでいかせられる」と、この試合では惜敗したものの、夏を目指して先を見据えていた。