ホテルの確保が難しい――。選抜高校野球大会で阪神甲子園球場に応援に駆け付ける学校関係者を悩ませているのが、宿泊先の手配だ。さらに価格も高騰しており、学校関係者は「お手上げです」と悲鳴を上げる。「万博でさらに厳しく…」 「(4月から開…

アルプス席で演奏する東海大札幌の吹奏楽部員ら=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2025年3月23日午前9時7分、片野裕之撮影

 ホテルの確保が難しい――。選抜高校野球大会で阪神甲子園球場に応援に駆け付ける学校関係者を悩ませているのが、宿泊先の手配だ。さらに価格も高騰しており、学校関係者は「お手上げです」と悲鳴を上げる。

「万博でさらに厳しく…」

 「(4月から開催される)大阪・関西万博で宿を押さえづらくなることも想定し、組み合わせが決まった直後に予約を取りました。立地、環境、食事が良いところをいかに早く押さえられるかが勝負でした」。東海大札幌(北海道)の応援団の宿泊予約を担った旅行会社の担当者はそう語る。

 東海大札幌は、23日の1回戦を前に約40人の吹奏楽部員が京都市内、約10人のダンス部員が大阪市内のホテルに泊まった。吹奏楽部は別の活動があったため1回戦後に北海道に帰ったが、ダンス部は25日の2回戦まで宿泊を続けた。旅行会社の担当者は、これまでも甲子園出場校の応援団らのツアーを担当してきた。「昔と比べてもホテルの予約は取りづらくなっている」と実感している。

 観光庁の調査によると、大阪府の宿泊施設の稼働率は昨年12月時点で80%に上り、東京都(78%)や福岡県(75・2%)を上回って全国トップだった。コロナ禍が明けて人の出足が戻り、円安を追い風に訪日客の数も回復している。関西は人気の観光地で、万博の開幕を控えている。

 今後は「万博の開催時期と重なり、さらに宿の予約が厳しくなるのでは」との見方もある。万博が開幕する4月13日以降は、観光客などの増加でさらに宿泊予約が取りづらくなり、料金の高騰も見込まれる。

 「(今回の)春は(万博の)開幕前なのでまだいいが問題は夏ですよ。宿も高くなるだろうし、(移動に使う)バスも確保できないかもしれない。取り方を考えないといけない」。旅行会社の担当者は危機感を募らせている。

 6年ぶりに出場した横浜(神奈川)は、1試合あたり100人ほどの在校生が応援に駆け付けた。例年、修学旅行で利用している京都市内のホテルを確保できたが、応援ツアーを組んだ旅行会社の担当者は「価格も値上がりしているし、(部屋が)空いていないという印象だった」と打ち明けた。

 難しかったのが、学校関係者や一般のファンの応援ツアーだ。こちらは大阪市内のビジネスホテルの部屋を数十ほど準備したが、価格は軒並み高騰している。横浜の担当者は「100を超えるような規模だったらお手上げという感じだった。夏の甲子園は万博の真っ最中。出場が決まったら、どれだけ(ホテルが)空いているか不安です」と明かす。

 健大高崎(群馬)の選手の保護者は、昨秋の関東大会で勝ち上がった時点でセンバツ期間中の宿を確保した。大阪市内のホテル価格の高騰もあり、神戸市内など、少し離れた場所に宿泊する人も多いという。

 ある保護者は「夏は万博の影響もあるので、もう夏の甲子園にも出場するつもりで宿を確保しています」とまで言う。

 夏の甲子園に向けたホテル確保も関係者の頭を悩ませそうだ。【深野麟之介、高橋広之、長宗拓弥】