春の甲子園8強入りを果たした広島商の野球部員の中には、1899(明治32)年創部の歴史の中で初となる女子マネジャーもいる。 「人数では負けているけど、声では負けないよう大声で応援お願いします」 26日にあった第97回選抜高校野球大会準々決…

 春の甲子園8強入りを果たした広島商の野球部員の中には、1899(明治32)年創部の歴史の中で初となる女子マネジャーもいる。

 「人数では負けているけど、声では負けないよう大声で応援お願いします」

 26日にあった第97回選抜高校野球大会準々決勝の智弁和歌山戦前、荒谷優英(ゆえ)さん(3年)はアルプススタンドで声を上げた。

 荒谷さんは両親の母校、広島商に入学すると、小学生時代の野球経験を買われ、父親の荒谷忠勝監督(48)らから「マネジャーをやってみないか」と声をかけられた。当初はバスケットボール部に入ろうと思っていたが、悩んだ末に面白そうだと野球部を選んだ。

 入部直後は、初の女子マネジャーを迎え入れる先輩との関係を築くのに苦労した。どう接していいかわからず、バスケを選べば良かったと思う時もあった。

 だが、距離が縮まるのに時間はかからなかった。おしゃべり好きな性格で、積極的に声をかけていった。今では選手に思ったことを遠慮なく言えるようになった。

 マネジャーの業務は補食の準備やノック練習のサポート、スコアの集計、ビデオ撮影など多岐にわたる。「グラウンドに入って、声を出すのが一番楽しい。選手が不自由なく思い切りプレーできるためには、裏方の仕事も大事だと知った」と言う。

 チームは3年ぶりの甲子園出場を果たしたが、準々決勝で0―7で敗れた。「甲子園に連れて行ってくれたので、マネジャーをやっていて良かったなと思う。でも甲子園では実力差を感じた。夏の広島大会まで一日一日を大切に全員で準備していきたい」(遠藤花)