かつてはチームメイトでもあったローソンと角田。(C)Getty Images F1に日本人唯一のドライバー、角田裕毅(レーシングブルズ)の周辺がどうにも騒がしい。今季第3戦となる日本GP(4月6日決勝、三重・鈴鹿)を目前に控えた3月27日に…
かつてはチームメイトでもあったローソンと角田。(C)Getty Images
F1に日本人唯一のドライバー、角田裕毅(レーシングブルズ)の周辺がどうにも騒がしい。今季第3戦となる日本GP(4月6日決勝、三重・鈴鹿)を目前に控えた3月27日に“親チーム”であるレッドブルが昇格を公表したためだ。
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急転直下での決定だった。キッカケは今季から昇格した23歳の若武者リアム・ローソンの不振。開幕から予選や決勝で最下位になったほか、リタイアなど失態を繰り返し、レッドブル内でも「改善が見られない」(米スポーツ専門局『ESPN』より)と判断。
昨オフから昇格の有力候補に挙げられ、今季も開幕から好調を維持していた角田の現状を考えれば、必然の決定ではあるが、わずか2戦でのドライバー交代は異例。ゆえに早々と「失格の烙印」を押されたローソンの母国ではレッドブルに怒りの声が飛んでいる。
ニュージーランドの大手紙『New Zealand Herald』は「この状況の責任を負わなければならないのはレッドブルであり、23歳のローソンではない」と強調。さらに「2025年に向けて彼と契約することの大きなリスクを、どうして彼らは理解できなかったのか」とクリスチャン・ホーナー代表らに疑問を投げかけた。
「理解できないことだ。F1史上最高のドライバーの一人で、最も才能に恵まれた(マックス)フェルスタッペンでさえ、16年に昇格した時点ではローソンの2倍の経験があった。レッドブルはF1史上最も成功したチームの一つかもしれないし、(クリスチャン)ホーナー(代表)と若手ドライバープログラムを監督するヘルムート・マルコは称賛に値する。しかしローソンと契約することは、まともなレーシングチームの決定ではない」
角田の昇格については「表面的にはメリットがないわけではない」と論じる同紙は「商業的にもツノダは大きな価値をもたらす。来週の鈴鹿でレッドブルのユニフォームを着た彼の姿は地元ファンの間で大騒ぎを引き起こすことは間違いない」とも断言。その上で地元の有望株であるローソンに厳しい措置をとったレッドブルの経営陣を糾弾している。
「ではなぜツノダは最初に選ばれなかったのか。それはF1の主要市場の一つである日本での彼の知名度が高いにもかかわらず、彼のドライバーとしての経歴に疑問が残るからだ。マルコは彼を高く評価しておらず、ホーナーは彼の態度と才能に懸念を抱いているという噂もある。
ツノダにとっては魅力的な決定だが、彼は自らの目で現実を目の当たりにすることになるだろう。もはやレッドブルは、修理すべき箇所が多すぎる沈没船のような気がしている。チームがすぐに解決策を見つけられなければ、フェルスタッペンでさえも転覆しかけている船体から飛び降る可能性はある」
ホーナー代表らチーム幹部たちが協議し、ドライバー交代を決断したとされる今回の事態。ファーストドライバーであり、4季連続の世界王者であるマックス・フェルスタッペンが異議を唱えたともされる中、角田はいかに存在感を示すか。
何はともあれ、24歳の日本人とっては千載一遇のチャンス。日本GPでの走りに注目が集まるのは間違いない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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