今年の第101回箱根駅伝(1月2、3日)1区(21・3キロ)で積極的に飛び出し、歴代4位の1時間1分7秒で区間賞を獲得した中大の吉居駿恭(しゅんすけ、3年)が2025年度シーズンの新主将に就任。往路2位、総合5位だった箱根を経て新シーズン…
今年の第101回箱根駅伝(1月2、3日)1区(21・3キロ)で積極的に飛び出し、歴代4位の1時間1分7秒で区間賞を獲得した中大の吉居駿恭(しゅんすけ、3年)が2025年度シーズンの新主将に就任。往路2位、総合5位だった箱根を経て新シーズンは「箱根駅伝総合優勝」を目標に再スタートする決意を明かした。1996年以来30年ぶり歴代最多15度目の箱根路制覇へ、新主将が中大飛躍のキーマンになる。
自信がにじみ出た。新主将に就任した吉居駿は「1年かけて目指す場所は、箱根駅伝総合優勝。熱い気持ちを持ったキャプテンになりたい」と明かした。昨年10月の箱根駅伝予選会6位通過、11月の全日本大学駅伝12位と不安視されていたが、今年の箱根は5区9・5キロまで首位を守るなど往路2位、総合5位と底力を発揮。「今年(25年度)はチームで勝つ」と言ってのけた。
熱さが表れたのが前回箱根だ。1区スタートから約300メートルで飛び出した吉居駿は、一度も先頭を譲らずに1区歴代4位の区間賞。22年大会の兄・大和(現トヨタ自動車)の区間新(1時間0分40秒)の快走をほうふつとさせた。1区を任された当初「兄の動画を結構見ていた」と飛び出すイメージはできており「(後続は)けん制しているような感じだったので行ってしまった方がいい」と判断。本人は「ラッキーな展開だった」と話すが、天性の感覚には藤原正和駅伝監督(44)も「覚悟を持って行った」と舌を巻いた。
転機は昨年の全日本だった。昨春のトラックレースで上位候補だった中大はまさかの12位。吉居駿も7区14位に沈み、4年連続のシード権を逃した。「チームとして本当に大きな敗戦だった。ここで軌道修正しなければいけない」と感じ、主将に立候補した。「厳しく言えないタイプなので…まだまだです」というが、「結果でもきちんと示したい」と決意は固い。
96年以来の箱根駅伝制覇へ、「想定された上でも、飛び出せる力がつけばまた1区に行きたい。区間新は出さないとそのレース展開はできないので、59分前後で走れる力がついたら行きたい」と兄超えに加え、前人未到の1時間切りも視野に入れた。
9月に行われる世界陸上で5000メートルで代表入りを狙う吉居駿。チームと個人で結果を求めることに「チームの皆にも影響があると思うし、強い姿を見せたい」と全力で取り組む。「力がついているって自分自身でも感じています。しっかりと熱意を持ち続けてやり遂げて、目標を達成したい」。箱根駅伝最多優勝を誇る伝統校のプライドを胸に、熱く戦い抜く。(手島 莉子)
◆吉居 駿恭(よしい・しゅんすけ)2003年4月8日、愛知・田原市生まれ。21歳。実業団のトヨタ自動車で活躍した父・誠さんの影響で小学5年で陸上を始める。田原東部中では3年時に全国中学大会1500メートル優勝、3000メートル2位。宮城・仙台育英に進み、全国高校駅伝に3年連続出走。中大法学部に進学し、箱根駅伝は1年時4区5位、2年時7区区間賞、3年時1区区間賞。168センチ、50キロ。家族は両親と双子の兄2人。
◆中大 1920年創部。箱根駅伝は20、24、2017年の3回を除いて出場。総合優勝14回、6連覇(1959~64年)、出場98回、連続出場87回はいずれも大会最多。出雲駅伝の最高は92、96、05年の2位。全日本大学駅伝の最高は93、95、05年の2位。練習拠点は八王子市。タスキの色は赤。主なOBはシドニー五輪マラソン代表の佐藤信之氏(前亜大監督)、ロンドン五輪マラソン代表の山本亮氏(中大コーチ)。