◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」 地方部で3年担当したJ2ベガルタ仙台で、まっすぐに感情をさらけだす姿でチームの中心となり、サポーターや関係者をとりこにさせた選手がいる。現在はC大阪に戻り活躍する中島元彦(25)。私が赴任した22年に仙…

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 地方部で3年担当したJ2ベガルタ仙台で、まっすぐに感情をさらけだす姿でチームの中心となり、サポーターや関係者をとりこにさせた選手がいる。現在はC大阪に戻り活躍する中島元彦(25)。私が赴任した22年に仙台へ期限付き移籍し、心身ともに成長したFWは、カメラマンとして、記者として大きく成長させてくれた。

 1年目はボランチ、2年目はFWの一角、3年目には両ポジションをうまくハイブリッドした1・5列目でキャリアハイの13得点5アシストと躍動。両方の足で強烈なシュートを放つことができ、撮影の際にはパスを出すのかゴールを狙うのか常に悩ませる。練習では給水時間も惜しんでボールに接し、最後までピッチを後にしない根っからのサッカー少年。試合に負けても「自分もあそこで決められなかったのは、あかんかった」と、誰よりも勝利に執着する姿に魅了された。

 昨年5月の山口戦、1点ビハインドの前半終了間際に守備の背後へ走ると、絶好のクロスから頭でネットを揺らした。貪欲にゴールを狙い、勝つために前線で走り続け、汗を飛ばしながら決めたシュートに身震いした。12月、J1プレーオフ昇格がかかった岡山戦では、完敗に人目をはばからず涙を流す姿を初めて見た。「周りの音が聞こえないくらい、頭が真っ白で悔しかった」。普段は明るく冗談が絶えない男の本音に、もらい泣きした。

 今季は開幕戦となるG大阪との大阪ダービーの後半途中からピッチに立ち、終了間際にとどめを刺す古巣復帰弾を決めるなど、6節を終え全試合出場して2得点1アシスト。私も東京勤務になり撮影する機会は減ったが、活躍が気になる存在だ。いつの日か日の丸を背負う姿をとらえたい。(写真担当・山崎賢人)

 ◆山崎 賢人(やまざき・けんと) サッカー雑誌から20年入社、東北支局を経て今年1月に写真部。いつか同姓同名の芸能人を撮影したい。