ヴィーナスは2022年に在籍…「ずっと続けたい」も1年で退団 海を渡っても笑顔でファンを魅了し続けている。巨人の公式マスコットガール「VENUS(ヴィーナス)」の一員として2022年に在籍した野澤彩華さんは、2024年から韓国のチアガールと…
ヴィーナスは2022年に在籍…「ずっと続けたい」も1年で退団
海を渡っても笑顔でファンを魅了し続けている。巨人の公式マスコットガール「VENUS(ヴィーナス)」の一員として2022年に在籍した野澤彩華さんは、2024年から韓国のチアガールとして活躍。しかも野球ではなくプロバスケだ。国、競技、言語……全てが変わっても、ヴィーナスへの感謝を忘れたことがない。
紆余曲折を経てチアの道を選んだ。中学・高校はソフトボール部に所属し、本格的なダンス経験はなし。ヴィーナス加入前は航空会社の地上スタッフとして働いていた。ただ、社会人1年目は新型コロナの影響で自宅待機の日々を過ごし、空港にも約1年間行けず。部屋の窓からふと多摩川を見つめ、「これでいいのかな……」。今なにがしたいのか、自分の心と向き合い始めた。
そんな時、ヴィーナスの応募が目に留まった。両親はともに巨人ファンで“縁”もあった。「20代でしかできない仕事をしたい、もったいない」。すぐに申し込み、2か月後に合格通知を受け取った。充実の日々を過ごし「ずっと続けたい」と思ったものの、1年で辞めることを決意する。選んだのは“韓国進出”だった。
「日本に外国人のチアが増えたり、日本から台湾に行く方が増えていて。私自身、昔から海外で仕事をしてみたい、っていう思いはありました。韓国のチアがカッコいいという思いもあり、もしチアをしながら海外に住めたらすごいなって」。とはいえ即海外とはいかず、卒業後はピラティスのインストラクターとして働きながら、人気を博す「野球YouTuber向」への動画出演、週刊プレイボーイのYouTubeに「可愛すぎる元プロ野球チアガール」として取り上げられるなど幅広く活動した。
そして2024年、自らインスタグラムで韓国のエージェントに売り込みをかけ、オーディションの末に韓国行きの“チケット”を手にした。6月に申請したビザは10月に下り、そこからは怒涛の日々だった。渡韓翌日には住居が決定、週2〜3回のダンスレッスンを行い、11月には韓国プロバスケ「原州東部」のアリーナに立った。当初はカタコトの英語でコミュニケーションを行っていたが、猛勉強の成果もあり韓国語も上達。徐々に“異国”の地に慣れていった。
「韓国でチアができているのも、全部ヴィーナスの経験があったから」
全てが順風満帆だったわけではない。日本との文化の違いなどに戸惑うこともあった。それでも「大変だなとはあまり思わなくて。色々ギャップがあって驚きはするんですけど、でもそれも感じたくて。海外に住みたいっていうのもあったから、文化の違いとか性格の違いとかも楽しいというか、良い経験だなって思っています」。
違いを受け入れ、“魅せ方”も刷新した。日本では常に笑顔、集団行動のように規律も大事にされたが、韓国ではクールな表情で踊りつつ、カメラの前ではふざけるなど、“素”の自分を出すようになった。チアも人生も大きく様変わりした。それでも、野澤さんは巨人での経験が人生のベースになっていることを強調する。
「私がやりたい仕事ができるようになったのは、全部ヴィーナスのおかげだと思っています。今こうやって韓国でも仕事ができていなかったと思いますし、すごく感謝しています」。2022年に人生の転機を聞いた際も、オーディションだと即答していた。3年の月日を経ても、その思いは一切の曇りがない。
「やっぱり韓国のプロ野球でチアをしたいです。まだ日本人では誰もしていないので。そしていつかは、韓国でもピラティスも教えたいなって思います。また何か思いつくかもしれませんけど」と笑いつつ、無邪気に野望を明かした。そして3月、野澤さんはKBO・ハンファのチアに就任することが決定。思い描く夢への道を一歩一歩を踏みしめている。(新井裕貴 / Yuki Arai)