(26日、第97回選抜高校野球大会準々決勝 智弁和歌山7―0広島商) 準決勝に勝ち上がった智弁和歌山は3試合で計13の犠…

(26日、第97回選抜高校野球大会準々決勝 智弁和歌山7―0広島商)

 準決勝に勝ち上がった智弁和歌山は3試合で計13の犠打を記録した。そこに含まれない一つのバントが、準々決勝の広島商戦で効いた。

 2―0で迎えた二回。1死一、三塁で左打席に9番・黒川梨大郎(りんたろう)が入る。

 サインはスクイズ。初球を失敗し、一塁線を狙ったセーフティー気味のバントもファウルに。追い込まれても「(スクイズのサインが)来る」と分かっていた。一塁側に転がし、三塁走者が生還。内野安打となって好機を広げ、この回3得点で主導権を手に入れた。

 強打のイメージが強い智弁和歌山は、高嶋仁前監督の時代から犠打を効果的に使ってきた。中谷仁監督が主将として全国制覇した1997年の選手権大会は準決勝、決勝で計13犠打を決めている。

 「チームが勝つには、みんなが強く振るだけじゃダメ。僕は、『そっち』の選手じゃない」と黒川。172センチ、70キロ。中学までは主に1番打者で自由に打たせてもらえたが、高校入学当初、今の4番・福元聖矢らのパワーをみて、モデルチェンジを決意した。

 中谷監督の薦めで昨年から使う木製バットは、金属よりもバントが「難しい」と言う。芯に当たると金属より打球が伸びる感覚で、芯よりも先端寄りにあてる練習を繰り返してきた。

 だからあのスリーバントスクイズの場面、中谷監督は「(黒川を)信じた」。3試合で計34安打。変わらぬ強打は、今もバントに支えられている。(鈴木健輔)