(26日、第97回選抜高校野球大会準々決勝 花巻東1―9健大高崎) 5点を追う五回。1死一塁で打席に入った9番打者、佐藤謙成選手(3年)はいつもと同じことを考えていた。「上位につなぐ」だ。 1球見送ってからの2球目。高めのスライダーを打ち返…

(26日、第97回選抜高校野球大会準々決勝 花巻東1―9健大高崎)

 5点を追う五回。1死一塁で打席に入った9番打者、佐藤謙成選手(3年)はいつもと同じことを考えていた。「上位につなぐ」だ。

 1球見送ってからの2球目。高めのスライダーを打ち返した。中越えの二塁打になり、1点を返して上位打線につないだ。

 佐藤選手は「うまく力を伝えられた。長打になったのはたまたま。バントでも、とにかくつなぐことが役目」と控えに語った。

 昨夏の甲子園ではベンチ入りメンバーに選ばれたが、試合に出ることはなかった。

 秋の大会は得られた出場機会に、つなぐコンパクトな打撃や確実なバントを心がけた。

 佐々木洋監督は「前の試合に続き、しぶとく打ってくれた。自信がついたんじゃないか」とたたえた。

 趣味は魚をさばくこと。小学生のころから釣り好きの父についていって、釣り上げたタイをさばくこともあった。

 さばくには指の微妙な力加減が必要だ。「バットコントロールやバントにも生かせているのかな」という。

 チームは目標とする日本一に届かなかった。「もっと実力をつけて、夏に戻ってきたい」。練習を積んで、再び挑むつもりだ。(上田雅文)