スキー・ノルディック複合で五輪3大会連続メダルの渡部暁斗(北野建設)が26日、2024~25年シーズンを終えて羽田空港に帰国した。 今季序盤は体調不良が続き、胸膜炎が悪化するなど苦しんだ。2~3月の世界選手権では個人ノーマルヒルで13位、…

 スキー・ノルディック複合で五輪3大会連続メダルの渡部暁斗(北野建設)が26日、2024~25年シーズンを終えて羽田空港に帰国した。

 今季序盤は体調不良が続き、胸膜炎が悪化するなど苦しんだ。2~3月の世界選手権では個人ノーマルヒルで13位、ラージヒルは21位。「今までの中で一番悪いスタート。焦りもあって体調不良の中でトレーニングをしたり…」。世界選手権後のW杯オスロ大会(ノルウェー)で今季自己最高の8位に入ったが、W杯個人総合は24位。「中盤から良い走りができていたら、また世界選手権も変わったのかなって。焦ってもダメだなって。36(歳)にして新しい経験をした」と、悔しさが残るシーズンとなった。

 来年のミラノ・コツティナ冬季五輪シーズンへ手応えもある。今季開幕前にジャンプは陸上のトレーニングから助走の滑る感覚を見直すなど新たな技術を身につけたが「(昨)夏から続けてきたことが、より自分の中で理解が深まって、少し形になって表れてきた」。W杯オスロ大会の8位、翌週のラハティ大会(フィンランド)につなげ「来季に向けて少し希望が持てるようなシーズンの終わりだったと思います」とうなずいた。

 また、スキーの母国ノルウェー・オスロ大会中にスキー界最高権威のホルメンコーレン・メダルを受賞した。1895年に始まり、スキー界に貢献した人に授けられる。日本人では荻原健司、船木和喜、葛西紀明、女子の高梨沙羅に続く5人目となり「競技人生の中で最もうれしいと言っても良いぐらい感慨深い瞬間。試合結果に対してよりも、自分の競技人生というものを評価していただけたところがやはり違う。これまで誠実に競技と向き合ってきた証拠でもあると思いますし、スキーの母国で評価していただいたことは光栄に思います」と喜びをかみしめた。

 出れば6度目となる26年ミラノ・コルティナ冬季五輪は「そこで一区切りにしたい」と位置づけている。だからこそ「自分も見ている人も皆が思わず、息をのんでしまうようなレースで、自分も思わずガッツポーズが出たり、見ている人も思わず喜んじゃうレースをできたらいいなと。それが頭に描いているオリンピックの姿」と強い思いがにじみ出る。36歳は集大成の舞台に向け、手応えと課題を胸にオフシーズンに向かう。