8大会連続8度目のW杯出場を決めているサッカー日本代表が、26年北中米大会に向けたベースキャンプ地の環境について、静けさ重視で選定作業に入る。日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長(48)が25日までに、自身の過去の出場経験を生かして私…
8大会連続8度目のW杯出場を決めているサッカー日本代表が、26年北中米大会に向けたベースキャンプ地の環境について、静けさ重視で選定作業に入る。日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長(48)が25日までに、自身の過去の出場経験を生かして私見を明かした。過酷な長距離移動に加え、決勝まで最大8試合を戦う本大会を見据えて森保ジャパンの世界一基地探しが始まる。
世界最速で本大会出場権を獲得した森保ジャパンの次の課題は、W杯優勝に向けた基地探しとなる。初の3か国(米国、メキシコ、カナダ)共催で、出場チームは前回カタール大会から1・5倍の48チームに増加。来年6月11日から39日間にわたり開催される北中米大会では、長距離移動を踏まえたベースキャンプ地選びがこれまで以上に重要になりそうだ。
情報収集進める 1年3か月後の本大会をにらみ、JFAの宮本会長は「どこをベース(キャンプ地)にするかは組み合わせ決定後になるが、(どこに入るか)可能性をしっかりと見据え、候補地を選んでいく作業をする」と状況を説明。今年の年末に予定される本大会の組み合わせ抽選の結果を踏まえつつ、その前からも候補地選定の情報収集を進めていく。
宮本会長はDFとして02年日韓、06年ドイツの両大会を経験した。元日本代表主将でもあり、「2002年は(静岡の葛城)北の丸という本当に静かな場所で過ごせた」と明かした一方、「06年のボン(ドイツ)は街中の喧騒(けんそう)に近かった。心身ともにコンディションをつくるには、そこ(環境面)は大きく左右された」と経験談を語った。
自国開催だった02年は、静岡の宿泊施設が拠点となり、庭園など自然豊かな環境で外部との行き来も遮断される集中しやすい環境で調整し、初の16強入りを果たした。だが、4年後のドイツでは静かな環境とは言いがたく、前評判とは裏腹に結果的に1次リーグで敗退した苦い経験もある。
最大で時差が3時間あり、過酷な移動を伴う26年北中米大会では移動面が最優先となるが、“静けさ”もベースキャンプ地選びの重要なポイントだ。原則3地区(西部、中部、東部)に分かれる1次リーグは、従来より長い中5~6日が設定されるが、拠点でゆっくり体を休め、万全の状態で試合に臨めるかもカギになる。
14年ブラジル大会で優勝したドイツ代表は、サンパウロ州のカンポ・バイーアに総工費約17億円を投じ、自前のキャンプ施設を建設した例もある。宮本会長は「日本も(過去7大会)いろんな経験を積み、キャンプ地選びに関しても知見はある。(ドイツの話の)視点はゼロではない」と含みを持たせ、世界一へ環境面でチームをバックアップする変わらぬ姿勢を示した。(岩原 正幸)
優良物件は競合に
ベースキャンプ地は、宿舎、グラウンド、ジムなどが同じ敷地内にあり、周囲からの目を気にすることなく過ごせる環境が理想だ。ロシア、カタールW杯(宿舎は別)では開催国の名門クラブの施設を使用。普段からプロが使用する環境を押さえることができれば、全体練習以外にもジムワークなどを欠かさない意識の高い日本の選手たちも、ストレスなく過ごせる可能性は高い。
一方で北中米W杯は、試合ごとの移動や時差対策が必要となり、会場がメキシコとなれば高地対策が生じる。“優良物件”は競合になる。過去7大会の知見を生かし、最高の環境を整えることが躍進への重要な要素となる。