赤羽にはヤクルトの中心選手として期待がかかる(C)産経新聞社 ヤクルトは3月28日からの開幕カードで巨人と対戦する。チームスローガンである「捲土重来」を掲げて2025年のペナントレースに挑むが、不安材料は主力に故障者が相次いでいる点だ。【動…

赤羽にはヤクルトの中心選手として期待がかかる(C)産経新聞社
ヤクルトは3月28日からの開幕カードで巨人と対戦する。チームスローガンである「捲土重来」を掲げて2025年のペナントレースに挑むが、不安材料は主力に故障者が相次いでいる点だ。
主砲の村上宗隆が上半身のコンディション不良で離脱し、左手を負傷したキャプテンの山田哲人は2軍戦に出場して調整中。中堅を守る塩見泰隆も左膝を痛めたとみられ、長期離脱の可能性があることがわかった。
そんなチーム状況の中で「救世主」として期待されているのが、今季プロ5年目となる24歳の赤羽由紘だ。今春のオープン戦ではチームトップの7打点をマーク。得点圏打率も全体でトップの「.545」と勝負強さを発揮し、開幕スタメンへ向けアピールに成功した。
投手と捕手以外の内外野すべてのポジションを守れる器用さに加え、広角に打ち分け、パンチ力のある打撃を生かし、今季は大きく飛躍の予感がする。
現役時代は巨人のユーティリティプレーヤーとして活躍した寺内崇幸内野守備走塁コーチは、赤羽について「万能という言葉が一番合う」と、赤羽のユーティリティ性を高く評価しており、その上で「今年はたくさんチャンスがあると思いますので、チームの中心となっていくような選手に、この1年でなれるんじゃないかと期待しています」と、大きな期待を寄せていた。
打撃練習では中堅から右方向、さらに引っ張ってスタンドインさせる豪快なスイングもみられ、試合の場面や相手投手の特徴によって対応できるように練習を重ねているが、赤羽は「メンタルが一番大事かなと思う。技術もそうですけど、一番は対投手で戦えるというのができたらいい」と話す。
正二塁手の山田、今季からFAで加入した茂木栄五郎、同世代の武岡龍世らライバルは多いが、背番号「00」はレギュラー奪取へ「第一に考えている」と、言葉に力を込めた。
オフには球団OBでもある内川聖一氏と自主トレを行い、「3年間一緒にやらせてもらっているので、さすがに結果として見えてこないと、内川さんもそうですけど寂しいと思う。本当にいいオフシーズンの自主トレをやらせてもらっている」と、3年間充実のオフを過ごしてきた。
内川氏も得意だったインコースの捌き方についても目を見張るものがあり「自然とそういう形になってきた」と、通算2186安打を積み重ねた最強右打者からの教えが、結果となって表れているのは確かだ。
村上が開幕戦に間に合わない見通しの中、4番が抜ける打線は再編が求められる。その中でも打線の“キーマン”となるのが赤羽だ。打順は流動的になりそうだが、赤羽が状況に応じた打撃を見せられるかが勝利のカギとなる。
得点圏での打撃について赤羽は「去年なかなかそういう場面で打つことができなかった。チャンスメイクするのも当たり前ですけど、得点圏のときはランナーを還せるように、その気持ちは強く持っていきたい」と述べ、「作戦もたくさん出ると思いますし、バントも決められたら確実にチャンスになる。自分の中で整理しながら、試合に臨めたらいいと思う」と意気込んだ。
「打倒巨人」に向けては「強いチームというのはわかっている。自分のできることをまずやって、その先に勝利があると思うので頑張っていきたい」と話した。
チームの「救世主」としてだけでは終わらない。レギュラーをつかみ、チームの「中心選手」として光り輝く。そのチャンスが目の前にある。
[文:別府勉]
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