「選抜高校野球・2回戦、浦和実8-2東海大札幌」(25日、甲子園球場) 盟友の話題になると、自然とこみ上げてきた。「いつも助けてもらっていたので…。きょうは自分が助けてあげたかった」。東海大札幌(北海道)の藤根龍之介内野手(3年)は、エー…

 「選抜高校野球・2回戦、浦和実8-2東海大札幌」(25日、甲子園球場)

 盟友の話題になると、自然とこみ上げてきた。「いつも助けてもらっていたので…。きょうは自分が助けてあげたかった」。東海大札幌(北海道)の藤根龍之介内野手(3年)は、エース左腕・矢吹太寛(たお)投手(3年)を思い、悔し涙を流した。

 九回無死一塁、矢吹の代打で打席へ。「やってやろうという気持ちだった」。だが、変則左腕・石戸の直球を打ち上げてしまい、相手好守もあり右邪飛に。天を仰いだ。

 それでも、矢吹の存在がなければ立てなかった舞台は、大きな経験となった。故障に悩まされてきた苦労人。ベンチ入りを狙える位置にいた昨秋は腰の肉離れを発症し、野球を辞めることも考えた。「頑張っても、いつも良いところでケガしちゃって…」。誰にも相談せず、1カ月以上悩める日々を過ごした。

 そんな時、矢吹に思いを打ち明けた。捕手だった小学6年時、日本ハムジュニアでバッテリーを組んだ仲。「何もできなくてごめん」。そう伝えると、「謝る必要はない。お前は良いモノを持ってるから辞めずに頑張れ」と返事があった。

 少年時代からの友の言葉に救われ、努力を続けて初のメンバー入り。日本航空石川との1回戦では、九回先頭の代打で逆転勝利につながる左前打を放った。普段は「みんなを笑わせることが趣味」のムードメーカーは「スタメンで夏の甲子園に出たい」と決意。友を助け、みんなを笑顔にする一打を放つため、頼もしくなって聖地に帰る。

 ◆藤根 龍之介(ふじね・りゅうのすけ)2007年6月6日、17歳。北海道出身。168センチ、90キロ。右投げ右打ち。小学3年時から石川ノースフォックスで野球を始め、小学6年時に日本ハムジュニアに選出。函館市桔梗中では函館ボーイズでプレー。東海大札幌では今センバツで初のベンチ入り。50メートル走6秒8、遠投90メートル。父・真也さんは知内で93年の第65回センバツに出場。