競泳の日本代表が25日、世界選手権(7月、シンガポール)に向けた合宿を都内のナショナルトレーニングセンター(NTC)で公開。代表選考を兼ねた日本選手権(23日閉幕、東京アクアティクスセンター)の男子50メートル平泳ぎで2位に入り、初代表を…

 競泳の日本代表が25日、世界選手権(7月、シンガポール)に向けた合宿を都内のナショナルトレーニングセンター(NTC)で公開。代表選考を兼ねた日本選手権(23日閉幕、東京アクアティクスセンター)の男子50メートル平泳ぎで2位に入り、初代表を決めた柳沢駿成(としなり)=スウィン高島平=が取材対応。「目標は、自己ベストの更新」と掲げた。

 普段はプール関連の設備を扱う「アクアプロダクト」で、フルタイムで働く27歳の会社員。仕事後、週に3回ほど市民プールやジムに通うなど、趣味の範囲内ながら競技力を向上させてきた。桐蔭横浜大まで競泳をしていたが、全国での実績はなし。就職後は一度引退したが、息抜きもかねて筋トレと水泳を再開。新卒5年目で、日本代表入りを果たした。

 学生時代、約65キロだった体重は10キロほど増量。「体作りがうまくいって、パワーがついた」と記録更新につなげてきた。拠点のプールやコーチはいないが「マスターズの仲間などにトレーニングを教えてもらったり、指導をいただいたのも一つの要因かなと」。なにより「学生時代より、楽しんで水泳をできていることが一番かな」と、記録更新の秘けつを語った。

 とはいえ、本人も驚きの日本代表入り。参加必須の代表活動もあり、今後仕事を不在にする不安もあった。柳沢は東京23区内で、プールのろ過器の営業を担当。長期のプロジェクトに携わることもあり「いろいろな現場や事務所に電話などをしないといけない。今、引き継ぎの対応をしているところ」と語った。自身の不在で、同僚の仕事量が増える懸念もあったが、同社の社長や上長は快く活動の参加を認めてくれたという。「まず一安心。皆さんが『頑張って』と送り出してくれて、本当にうれしかったです」と笑顔を見せた。

 日本代表が合宿を行うナショナルトレーニングセンターのプール。このプールのろ過装置も、アクアプロダクトが扱っているという。新入社員の頃「機器を覚えるために、機械室にはメンテナンスの部署の方と一緒に来て。ろ過器のフィルターを洗ったり、色々したりというのでここに来たことはある」と明かした柳沢。2度目の訪問は、自身が代表ジャージーをまとってとなった。「プールを見てすごいなと思って。泳げることはないだろうなと思っていた自分が、ビックリです」と、率直な胸の内を語った。

 昨年12月には入籍。夫人もビックリしていたといい「何かサポートができるかなど、そういう事を気にしていたので。別にいつも通りでいいよ、という話をしました」。今後はNTCを利用することも出来るが、働きながらのため原則、市民プールでの練習ルーチンで世界選手権への準備を進める方針という。目指すは「自己ベスト更新」と柳沢。その先に見据える日本記録も視野に、サラリーマンの星が泳ぎ続ける。