終わってみれば、5点差をつけての快勝だった。だが、山田凜虎捕手(2年)にとっては、気の抜けない9イニングだった。「相手が何をしてくるか分からない。なんとか勝つことができた」と振り返った。 相手は、監督からの指示なしに、バントやヒットエンド…
終わってみれば、5点差をつけての快勝だった。だが、山田凜虎捕手(2年)にとっては、気の抜けない9イニングだった。「相手が何をしてくるか分からない。なんとか勝つことができた」と振り返った。
相手は、監督からの指示なしに、バントやヒットエンドランを仕掛けてくる「ノーサイン野球」が身上のチームだ。試合前、中谷仁監督から「落ち着いて対応すれば大丈夫」とは言われていた。だが、「左打者が多くて、送球しづらかった。バントもいつバットが出てくるか分からない」。
盗塁を仕掛けてくるのは分かっていたが、結局六つの盗塁を許した。「自分が刺せれば、試合はもっと楽に進められたのに」と悔やんだ。
ただ、ノーサインでの仕掛けを見破った場面もあった。六回2死一塁。走者と打者の目と目が合っているところをマスク越しに観察した。「走る」と直感した。二塁へ送球し、盗塁を阻止できた。
この日はいずれも3年の渡辺颯人、田中息吹、宮口龍斗の3投手を引っ張った。代わりばなを狙われて得点を許した七回には、宮口投手に駆け寄って尻を軽くたたき、「まっすぐを思いっきり投げろ」と助言。各回の失点を最少に食い止めた。
「今日はなんか、勝たせてもらった感じ。準々決勝では、もっとぴりっとしたい」。勝っても反省だ。
2連戦となる26日の準々決勝は、昨秋の明治神宮大会準優勝の広島商と戦う。
「簡単に勝てる相手ではないけれど、自分たちのやるべきことをやるだけです」(寺沢尚晃)