■スタメン変更で見える磐田の変化【J2リーグ第6節 3月23日 13時03分キックオフ 仙台 2ー3 磐田 キューアンドエースタジアムみやぎ】 強さは見せている。しかし、圧倒的な強さではない。 J2リーグ第6節が3月23日に開催され、5位の…
■スタメン変更で見える磐田の変化
【J2リーグ第6節 3月23日 13時03分キックオフ 仙台 2ー3 磐田 キューアンドエースタジアムみやぎ】
強さは見せている。しかし、圧倒的な強さではない。
J2リーグ第6節が3月23日に開催され、5位のジュビロ磐田は7位のベガルタ仙台とのアウェイゲームに挑んだ。
前横浜F・マリノス監督のジョン・ハッチンソンが率いる磐田は、開幕から水戸ホーリーホック、サガン鳥栖に連勝したものの、V・ファーレン長崎とカターレ富山に連敗した。前節はヴァンフォーレ甲府に2対1で競り勝っているが、ここまで勝利した3試合はすべて1点差ゲームだ。J1から降格してきた磐田にとって、昨シーズンのJ2でプレーオフ決勝まで勝ち進んだ仙台との一戦は、チームの現在地をはかるものであり、リーグ内の力関係を見定める意味でも注目のカードと言うことができた。
ハッチンソン監督は5節の甲府戦から、スタメンに手を加えている。4節の富山戦で失点につながるパスミスをしたGK川島永嗣、ブラジル人の左CBリカルド・グラッサ、トップ下で起用してきたFW佐藤凌我をスタメンから外したのである。4-2-1-3のシステムでGKには阿部航斗、左CBに上夷克典、トップ下には大卒1年目のMF角昴志郎が起用されるようになったのだ。
アルビレックス新潟から加入したGK阿部は、ビルドアップに積極的に関わることができる。仙台との一戦でも、ふたりのCBとともにボールを動かしていった。ペナルティエリア外へも思い切って出ていける彼がピッチに立つことで、ビルドアップはより安定した印象がある。
サガン鳥栖から加入の上夷は、京都サンガF.C.や大分トリニータで出場機会を積んできた28歳だ。J2の戦いを知っている。高さがあって安定感があり、リカルド・グラッサとはまた違う個性で最終ラインを引き締めている。
■右ポケット侵入が先制点を呼んだ
磐田は23分に先制する。きっかけを生み出したのは、トップ下で2試合連続スタメンの角だ。右サイドからボールを運び、MFジョルディ・クルークスにあずける。そのまま右ポケットのスペースへ走り、クルークスからワンタッチでリターンパスを受ける。
右ポケットへ侵入した角は、相手MF武田英寿のスライディングを切り返しでかわし、左サイドバック奥山政幸と交錯して倒れる。これがPKとなり、クルークスが決めて磐田は先制に成功したのだった。
右ウイングのクルークスがタッチラインを踏むぐらいまで幅を取り、右サイドバック植村洋斗がインナーラップを仕掛けたり、トップ下の角がクルークスを追い越して内側のレーンを使ったりするのは、前節の甲府戦でも見られた磐田の攻撃パターンである。それによって、守備側の目線をズラすことができている。
右サイドバックでは開幕から新加入のDF川口尚紀が出場していたが、ケガにより4節から植村が起用されている。ボランチが本職のこの23歳は、プロ1年目の昨シーズンから右サイドバックで起用され、攻撃の局面でMFとしての資質を発揮してきた。この日もクルークスに連動してポケットへ侵入し、攻撃に厚みと深みをもたらしていた。植村と角による右ポケットの効果的な活用は、前半の磐田が主導権を握る要因となっていた。