大相撲春場所で12勝を挙げ、3度目の優勝を果たした大関・大の里(24)=二所ノ関=が千秋楽から一夜明けた24日、エディオンアリーナ大阪で会見を行った。初の綱取りに挑む夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)で2場所連続優勝し、文句なしで…

 大相撲春場所で12勝を挙げ、3度目の優勝を果たした大関・大の里(24)=二所ノ関=が千秋楽から一夜明けた24日、エディオンアリーナ大阪で会見を行った。初の綱取りに挑む夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)で2場所連続優勝し、文句なしで師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)以来の日本出身横綱となる。過去2度の優勝翌場所はともに9勝で「同じ失敗を繰り返さない」と宣言。昭和以降では羽黒山、照国の初土俵から所要16場所を抜く所要13場所での最速横綱へ、4月の春巡業から猛稽古を積む。

 過去2度とは違う、看板力士としての風格が漂う一夜明け会見だった。「情けない場所が続き、2月は本当にしっかり稽古した。その成果が出てうれしい」。大関昇進後は9、10勝と結果が伴わず苦しんだだけに喜びはひとしお。前夜は祝賀会やテレビ出演後、すぐに宿舎へ帰り午前0時ごろ就寝。「本当によく眠れて、目覚めた」とうなずいた。

 夏場所は初の綱取りになる。横綱審議委員会の推薦内規は「2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」だ。大関で2場所連続で優勝した力士は年6場所制となった1958年以降では11人。日本出身に限れば98年名古屋場所で昇進した3代目・若乃花が最後。大の里は「簡単になれるものではない。焦ることなく自分のペースでやれることをやる」と足元をみつめた。普段から二所ノ関親方に厳命されている、13勝以上での優勝で文句なしの昇進につなげる。

 過去2度優勝した翌場所はともに9勝6敗。初優勝直後の昨年名古屋場所は、大関初挑戦を意識しすぎて力を発揮できず。2度目の優勝と大関昇進を決めた同秋場所後は、10月の秋巡業中にアデノウイルス感染症にかかり稽古不足だった。「優勝した次の場所はダメな場所が続いているので、同じ失敗を繰り返さないようにしっかり稽古を積みたい」。心身ともに万全の状態で夏場所を迎えるべく、厳しい稽古を重ねる覚悟だ。

 二所ノ関親方から、千秋楽の前夜にLINEで「最後は稽古したやつが勝つ」と激励された秘話を明かした。2度だった師匠の幕内優勝回数は超えたが「師匠には到底追いついていない。今まで以上の稽古に励んで、追求したい」と言葉に力を込めた。24歳にとって東京・両国国技館で開催された場所は、直近3場所で2度優勝と好相性。調整しやすい国技館開催の夏場所を制し、稀勢の里以来、8年ぶりの日本出身横綱へと史上最速で上り詰める。(山田 豊)

 ◆大の里 泰輝(おおのさと・だいき)本名は中村泰輝。2000年6月7日、石川・津幡町生まれ。24歳。小1から相撲を始め、能生(のう)中、海洋高(ともに新潟)を経て日体大に進み、2年連続のアマチュア横綱。二所ノ関部屋に入門して23年夏場所、幕下10枚目格付け出しでデビュー。24年夏場所で最速となる初土俵から所要7場所でのV。秋場所後には昭和以降で最速となる所要9場所で大関昇進。得意は突き、押し、右四つ、寄り。192センチ、183キロ。

◆大の里に聞く

 ―親方の優勝2回を超えた。 

 「まだまだ。目標は親方なんで、それに向けて頑張りたい」 

 ―親方の目標とする部分は?

 「全てにおいて。いろいろ盗んで頑張りたい」

 ―今後に向けて。 

 「深く考えすぎず、やれることをやって今まで以上に稽古に励む」

 ―横綱の大事な資質は。

 「親方に(昨年9月の)大関昇進したときに、大関とは、横綱とは、ということもお話ししていただいた。少しでも近づけるように頑張りたい」

 ―14勝や全勝優勝するために必要なもの。 

 「稽古もそうだし、気持ちが大事になってくる」

 ―4月には能登半島地震で被害に遭った石川・七尾市で巡業がある。 

 「能登の皆さんにも優勝した姿で地元・石川に帰れることはうれしい」