NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25ディビジョン1 第12節(交流戦)2025年3月22日(土)12:00 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)三重ホンダヒート 31-39 浦安D…
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第12節(交流戦)
2025年3月22日(土)12:00 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート 31-39 浦安D-Rocks
スクラムに注ぐ情熱。“熱さ”をチームに宿し、浮上への道を切り拓く二人
けがから戻ってきた三重ホンダヒートの右プロップ、吉岡大貴選手
22日に行われたホストゲームで、三重ホンダヒート(以下、三重H)は浦安D-Rocks(以下、浦安DR)に敗れた。
後半20分にはレメキ ロマノ ラヴァのトライでリードを奪い、勝利の可能性を感じさせた。ところがその後のトライがTMOで認められず、さらに後半31分にフランコ・モスタートがシンビン(その後、レッドカードにアップグレード)となり、一人少ない状況の中で立て続けに失点。悪い流れに呑み込まれて31対39と競り負けた。
この黒星により、三重Hは順位を10位に落とした。レギュラーシーズンでの残留を決めるためには、これ以上順位を下げるわけにはいかない。
ただ、その中で光明があるとすれば、負傷者が戻ってきたことだ。2トライを決めたレメキは再びけがを負ったが、マティウス・バッソン、吉岡大貴、トム・バンクスは戦列に復帰。疲労が蓄積する終盤戦において、選択肢が増えることは好材料だ。
「早く復帰したいという気持ちで一生懸命リハビリをしていましたが、2カ月はあっという間でした」と、ひさびさの出場となった吉岡は語った。「そんなに経ったのか……と感じます。周りをサポートしたり、分析やイメージトレーニングをしていたら、すぐに時間が過ぎました」
プレーできずともさまざまなことを積み重ねてきた吉岡。いま、なかなか調子が上がらないチームに対してどう関わっていきたいと思っているのだろうか。
「29歳の中堅選手としてチームを引っ張ることが求められますし、ラグビーは『燃えてナンボ』です。声を出して、気持ちを前面に見せることが醍醐味。そんな雰囲気を作りたいです」と、吉岡はメンタル面に刺激を与える意欲を示した。
さらにプレー面については「スクラムで安定してボールを供給し、ペナルティを取ることが僕に求められている役割です。良い準備をして、チームに流れをもたらしたい」と力強く語った。
三重Hのスクラムを語る上では欠かせない人物がいる。それは斎藤展士アシスタントコーチだ。昨季まで浦安DRを指導していたこともあり、「古巣相手に燃えている」とも言われていた。それについて吉岡に尋ねてみた。
「確かに燃えていました。ただ浦安DRには2月の試合と合わせて2回負けてしまいましたし、斎藤コーチが一番悔しがっているでしょうね」
負傷からの復帰で“熱さ”をもたらしたい吉岡。そしてこの悔しさを糧に一層スクラムに情熱を注ぐであろう斎藤アシスタントコーチ。これから待つ厳しい戦いに向け、浮上のカギを握るポイントの一つになりそうだ。
(籠信明)
三重ホンダヒート
三重ホンダヒートのキアラン・クローリー ヘッドコーチ(左)、パブロ・マテーラ ゲームキャプテン
三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ
「正直に言って、フラストレーションが溜まるような状況です。もちろん相手には『おめでとう』と言わなければなりませんが、われわれは簡単に点を与え過ぎました」
──今季ディフェンスが改善されたと言われてきましたが、このところは多くの失点を喫しています。現状の課題は何でしょうか。
「今日について言えば、キックオフからボールを取れずにトライを奪われてしまった部分と、自陣のゴール前でインターセプトされてからの失点が14点です。これに関してはディフェンスの面ではなく、実行力の不足です。守備が悪かったというよりも、簡単に点を与えてしまったものでした。自陣でプレーする時間が長過ぎたため、相手にプレッシャーを掛けられませんでした。そこで取り返されると失点につながるということです」
──今日はレメキ ロマノ ラヴァ選手、トム・バンクス選手、マティウス・バッソン選手、吉岡大貴選手がけがから復帰して出場しました。今後の選手起用についてはどう考えていますか。
「レメキ選手は二つのトライを決めてくれましたが、再びけがをしてしまいました。バンクス選手もチームに経験をもたらしてくれる存在になります。ただ、これから誰を出すかは今日のプレーを見直してから考えたいと思います。物事に結果は必ず伴うものですから、このあとの試合でもメンバーは変わるでしょう。あとは、ジャパンラグビーがマッチオフィシャルに対してもう少し見てくれればと思います。今日に関しては、ゲームに対する影響力が少し強過ぎました」
──今季改善されていると評価されるスクラムについて。また、それによってペナルティを一度獲得することができたことに対しての感想を教えてください。
「今季からノビー(斎藤展士)さんが(スクラムを担当する)アシスタントコーチになったことで、安定感を増しています。スクラムは8人の努力が必要になると思っています。もちろんその中でペナルティを取れるのはうれしいことですし、スクラム自体のパフォーマンスも良くなっていると思います」
三重ホンダヒート
パブロ・マテーラ ゲームキャプテン
「自分たちがハードにやり切れなかったという部分がありますし、もちろん相手のほうが良かったと思います。相手をプレッシャーから解放してしまって、自分たちの思うようなプレーができず、望んでいた戦い方ができなかったという点が敗因です」
──負けましたが、ジャッジが少し異なれば勝てた可能性がある試合でもありました。この経験から生かすべきポイントは何でしょうか。
「レフリーのことについては、フラストレーションが溜まることがあっても、われわれはプレーに集中しているので特には気にしていませんでした。見ている方々のほうが、何か思うところがあるのかもしれません。今日で言えば、試合後にパフォーマンスの面に関して『個人が各々の責任を果たすべきだ』という話をしました。何人か基準に達していない選手がいると感じていました。自分たちが毎回100%を出すことができれば、チームとしても成長できるものです。個人が責任を持ってやることが大事だと思います」
浦安D-Rocks
浦安D-Rocksのグレイグ・レイドロー ヘッドコーチ(左)、藤村琉士 ゲームキャプテン
浦安D-Rocks
グレイグ・レイドロー ヘッドコーチ
「まずは、チームのパフォーマンスを非常に誇りに思います。三重ホンダヒートさんはホストゲームに強い相手ですし、敵地に乗り込んで戦うことはチャレンジでした。その中で、スターティングメンバーもベンチメンバーも大きなインパクトを与えてくれました。チームの成長を見せてくれたと思います」
──序盤戦と比べて試合内容が向上している要因は何でしょうか。
「ディビジョン1に昇格してから長い旅路になることは分かっていました。チームとしてはシーズンをとおしてうまく調整をすることができ、自分自身もコーチとして学ぶことがたくさんありました。それを生かすことができている点が要因かと思います」
──コーチとして学んだものとは何でしょうか。
「具体的に変えたものは、トレーニングの時間やボールインプレーの調整です。シーズン中に変化させることはかなり勇気がいるものですが、必要があればそれを行います。そして選手たちがそれにアジャストしてくれたということです」
──終盤、相手が一人少なくなったときに二つのトライを奪うことができたことについて。決して簡単なことではないと思いますが、いかがでしょうか。
「おっしゃるとおり、僅差のときには特にトライを取り切るのは難しいものですが、選手が守りに入らずにアグレッシブに戦ってくれました。アタックするチャンスがあればアタックをする、ボールを蹴るところはちゃんと蹴る、それは自分たちがこれまで成長してきたところです。そのバランスについては、今日は選手たちがとてもうまくやれていました」
浦安D-Rocks
藤村琉士 ゲームキャプテン
「23人がワンチームとなってそのエネルギーを発揮して勝とうという思いを持って今日の試合に臨みました。終盤に崩れた場面もありましたが、一人ひとりが役割を全うして勝つことができました。いい試合だったと思います」
──このところパフォーマンスが改善されている理由は何でしょうか。
「全員が信じることができていて、やるべきことを遂行しているという点が要因だと思っています」
──信じることができているものについて具体的に教えてください。
「まずはディフェンスですね。ほかにも規律やアタック、ラインアウトのことなど、いろいろとありますが、とにかく、自分たちのアイデンティティーをしっかりと信じることができている、ということです」