(24日、第97回選抜高校野球大会2回戦 横浜8―7沖縄尚学) 点の取り合いとなった横浜―沖縄尚学の選抜優勝経験校の対決。おぜん立てしたのは両校の三塁コーチの好判断だった。 沖縄尚学の田中彪斗(あやと)は三回2死一、二塁から三塁線を破った…

 (24日、第97回選抜高校野球大会2回戦 横浜8―7沖縄尚学)

 点の取り合いとなった横浜―沖縄尚学の選抜優勝経験校の対決。おぜん立てしたのは両校の三塁コーチの好判断だった。

 沖縄尚学の田中彪斗(あやと)は三回2死一、二塁から三塁線を破った当たりで、一塁走者も三塁を蹴らせた。際どいタイミングだったが、セーフになった。

 横浜・林田滉生の視野の広さが光ったのは七回だ。2死二、三塁から二塁手がゴロをはじき、白球が遊撃後方へ転がる(記録は安打)のを見るや二塁走者を本塁へ。結果的に1点差の勝利をもぎ取った。

 判断を後押しするのは試合前からの鋭い観察眼だ。事前の情報はもちろん、シートノックでは外野手を中心に肩の強さや中継プレー、チャージ具合などを確認。本番ではそれらを頭に入れつつ、走者の足の速さや捕球体勢なども見て、瞬時に「答え」を導き出す。

 昨春から低反発バットになって外野手が定位置より前に守るチームが目立つ。打球速度は以前より落ちたとされる。が、やることは変わらない。「見ることが大事。10人目のポジションだと思う」。誇らしげに語る林田のガラガラ声は一つの勲章だった。(笠井正基)