「今日の試合は昨日と違って出だしからアグレッシブに走って、自分たちのバスケットをする時間が長かったことが、こういう結果になった…
「今日の試合は昨日と違って出だしからアグレッシブに走って、自分たちのバスケットをする時間が長かったことが、こういう結果になったと思います」
三菱電機コアラーズの笠置晴菜は、最終的に60−62で惜敗したものの、接戦となった「Wリーグ ディビジョン入替戦 2024−25」の第2戦についてこう語った。
今シーズンよりプレミアリーグ(8チーム)とフューチャーリーグ(6チーム)に分かれ2部制となったWリーグ。翌シーズンに向けたリーグ間のチーム入替は、プレミアリーグ8位がフューチャーリーグへ自動降格、フューチャーリーグ1位はプレミアリーグへ自動昇格となり、プレミアリーグ7位とフューチャーリーグ2位のチームは2戦先勝方式の入替戦を行うという形式。今シーズン、その入替戦にはプレミアリーグ7位のアイシンウィングスとフューチャーリーグ2位の三菱電機が臨んだ。
両チームよる入替戦の第1戦は、開始早々に好スタートを切ったアイシンが81-52と大勝。アイシンは、第1クォーターで26ー10とすると、第2クォーター以降も攻撃の手を緩めず、前半で奪った32点のリードを後半も維持しながら危なげない戦いで初戦をものにした。
短期決戦では特に重要と言われる初戦について、チームとしての硬さが少なからずあったと振り返る笠置は、「自分の役目でもあるディフェンスのトーンセットというのができていなかったし、私が少し受け身になってしまったことで、それがチームにも影響してしまったかなと思います」と、自身について反省の言葉を発した。
しかし、後のない第2戦では笠置が奮起。「チームのシュート、みんなが(チャンスを)作ってくれたシュートなので“絶対決め切ろう”というイメージでした」と、得意とする3ポイントシュートでアイシンに応戦した。だが、チームは渡嘉敷来夢を起点に攻撃を組み立てるアイシンの前に第3クォーターを終えた時点で14点のビハインドを負うことに。加えて好調の笠置がファウルトラブルでベンチに下がる時間帯もあった。
それでも、「ほかのメンバーがやってくれると信じていたし、(実際に)追い上げてくれて、最後に自分が出たので、やってやろうという気持ちがありました」(笠置)と、試合時間残り8分を切り、満を持してコートに戻った笠置はそこから得点を重ねてアイシンを追随。これで流れをつかんだ三菱電機は、残り45秒には三間瑠依のシュートで2点差にまで詰め寄った。だが、その後の攻撃チャンスを点につなげることはできず、最終的には2点及ばず万事休す。この結果により、三菱電機はフューチャーリーグ残留が決まった。
笠置は第2戦で3ポイントシュート5本を含む24得点をマーク。入替戦を振り返って「あまり緊張はしていなかったのですが、第1戦のような受け身で入ってしまうと(相手は)実力も技術もすごいプレーヤーばかりだったので、やっぱりああいった試合になるなと思いましたし、今日の試合(第2戦)の結果を見ても第1戦から2戦目のような戦いをするべきだったと感じました」と、コメントした。
また、初のフューチャーリーグを戦い終えた感想については、「フューチャーリーグも簡単な試合はなくて、特長としてはそれほど大きいセンターが相手にいないので、(どのチームもポジションに偏りなく)みんながアタックしてくるバスケットが多かったです。それに少し苦しんだところもあったのですが、(入替戦では相手に)渡嘉敷さんのような大きい選手がいる中で自分たちのコンセプトは変えずにできたし、プレミアリーグに通用するチームを目指していたのですが、それは今日の試合で少し証明できたのかなと思います」と、収穫も語った。
だからこそ、来シーズン以降は「決め切る力やあと一歩のディフェンスの踏ん張りや頑張り」を課題に挙げる。
「フューチャーリーグで1位になって自動昇格を目指していたので気持ちの面では苦しい時期もあったのですが、(入替戦では)たくさんの方が会場に駆け付けてくれました。プレミアとフューチャーの試合をみんなに見てもらえる場だし、そこで試合ができるのは自分たちにしかないチャンスだとチームで話をしていたので、その上でこういった試合できたことは、負けてはしまいましたが、すごくいい経験になりました」
最終的な目標であるプレミアリーグ昇格は達成できなかった。しかし、13シーズンぶりに行われた入替戦は、ポイントゲッターの笠置にとっても貴重な経験となったようだ。
文=田島早苗