マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)がバスケットボールの神様なのであれば、ウォーレン・バフェットは“投資の神様”とし…
マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)がバスケットボールの神様なのであれば、ウォーレン・バフェットは“投資の神様”として、世界の金融市場で崇められている。その影響力は絶大であり、最近は同氏が毎年株主たちに向けて送る「株主への手紙」で日本の5大商社に言及すると、直後に三菱商事や伊藤忠商事の株価が跳ね上がり、バフェット効果として投資市場で大きな話題となった。
20兆円以上の資産を所有するバフェットは、アメリカの大学王者を決めるNCAAトーナメントの大ファンとしても知られている。富永啓生(インディアナ・マッドアンツ)の第二の故郷であるネブラスカ出身の同氏は、同州を本拠地とするクレイトン大学バスケットボール部の熱狂的な支持者。クレイトン大学は、カイル・コーバー(元アトランタ・ホークスほか)や、ダグ・マクダーモット(サクラメント・キングス)、ベイラー・シャイヤーマン(ボストン・セルティックス)らをNBAに輩出しており、2024年はスイート16、2023年にはエリート8に進出するマーチマッドネスの常連校だ。
バフェットは過去10年間、自身が会長を務める持株会社「バークシャー・ハサウェイ」の社員に向けて、男子NCAAトーナメントを対象とする予想コンテストを開催してきた。そして『Front Office Sports』によれば、コンテスト開催史上初めて賞金の受賞者が誕生したという。
バフェット主催の「マーチ・マッドネス・プール」は、60社を超える傘下の子会社に在籍する計約40万人の従業員の中から毎年6〜7万人が参加する大人気企画となっている。それもそのはず。なぜならこのコンテストで予想を的中させた人には生涯、年間100万ドル(約1億5,000万円)の賞金が与えられるからだ。
しかし、過去の開催で当選者はなし。これまでのルールは「スイート16までを完璧に予想できた人に生涯にわたり、毎年100万ドルを支払う」という高難易度で、魔物が潜むマーチマッドネスの方程式を解けた者は1人として現れなかった。その代わりに「最も長く、完璧な予想を維持した参加者」に対して10万ドル(1,500万円)の副賞が贈られており、毎年誰かがこの副賞を手にしていた。
バフェットはあまりの難易度の高さから、今年の開催でルール変更を発表。これまでのスイート16予想から「トーナメント1回戦に行われる32試合のうち、30試合以上を的中させた者に100万ドル」という内容に改訂し、従業員たちのやる気に火をつけた。
『Front Office Sports』が入手したバークシャー・ハサウェイ社の従業員に毎日配信されるアップデートメールには「1試合だけ外した予想が複数存在するため、ついに賞金が贈られることになる」との記載があったという。その後、1回戦最終戦となったオレゴン大学対リバティ大学の試合後には「初の賞金受賞者が確定した」との報告があったようだ。
オマハの賢人の異名を持つバフェットは、ルールを変更した理由について、こう説明している。
「私も年を取ってきています。会長としてまだ在職している間に、誰かに100万ドルを授与したいと思っています」
待望の的中者が現れたのは、今年のNCAAトーナメント1回戦では大きな番狂わせがほとんど起きなかったことが理由かもしれない。同メディアによれば、第13~第16シードのチームがすべて敗退したのは2017年以来のことだという。
バフェットが愛するクレイトン大学、通称ブルージェイズも順当に1回戦を突破。しかし、ベスト32で強豪揃いのサウスイースタン・カンファレンス(SEC)を首位で抜け出したオーバーン大学に敗戦し、上位進出は叶わなかった。
予想を的中させた豪運の持ち主は一体どのような人物で、何を根拠に予想を組み立てたのだろうか。詳細はまもなく、同社のプレスリリースで発表される見込みだ。
文=Meiji