<春季東京都高校野球大会第12ブロックB:日大豊山12-5駒場学園>◇23日◇代表決定戦◇桐朋グラウンド スコアの上では12―5の8回コールドという日大豊山の圧勝だったが、日大豊山の福島直也監督は試合後、疲れた表情で「駒場学園は強いですね」…

<春季東京都高校野球大会第12ブロックB:日大豊山12-5駒場学園>◇23日◇代表決定戦◇桐朋グラウンド

 スコアの上では12―5の8回コールドという日大豊山の圧勝だったが、日大豊山の福島直也監督は試合後、疲れた表情で「駒場学園は強いですね」と語った。

 秋は立正大立正に7-17と打たれて負けた日大豊山だが、秋に投げた投手は肘の故障などもあり、この春はスコアラーとボールパーソンを務めている。公式戦初登板の投手陣がどこまで通用するかが重要なポイントになっていた。

 この春、エースナンバーを担ったのは身長190センチの石田 幸矢(3年)だ。長身から投げ下ろす投球で初回を三者凡退に抑えるなど、快調な立ち上がりであったが、3回表に走者を2人置いて、駒場学園の3番・半田 歩睦外野手(3年)に二塁打を打たれ2点を失い降板。その後の投手もピリッとせず、苦しい展開になった。

 それでも勝てたのは、1回裏の攻撃が大きかった。1回裏日大豊山は満塁のチャンスをつかんだものの二死。得点できなければ、ダメージが大きいところだった。打席には6番の加藤 尚輝内野手(3年)が立つ。加藤尚は粘ったうえで、「狙っていた真っ直ぐを打ちました」という打球はレフト柵越えの満塁本塁打になった。本塁打は公式戦では初めて。練習試合を含めても2本目で、「自信があるのは守備の方で、打つ時は、つなぐ意識です」と加藤尚は語る。守備の方に自信がある加藤尚の一発は、「あのホームランがなかったら、相手の勢いに持っていかれました」と福島監督が語るように、値千金の一打であった。

 投手陣には不安のある日大豊山だが、打撃には力がある。特に1番の髙橋 眞芭外野手(2年)と9番の久保田 准平外野手(2年)は、バットを短く持って、しぶとく粘るタイプの選手で、「うちには珍しい泥臭い選手で、こういう選手がうちには必要なんです」と福島監督は語る。

 好調な打線が4回までに10点を挙げて、試合を優位に進めたが、投手陣は4人をマウンドに送りながら、失点は5。なかなかコールドゲームにできない。駒場学園は3番手として7回裏から登板した背番号1の和田 拓也(3年)は球威があり、この回は三振2を含む三者凡退に抑えられた。それでも8回裏、敵失と四球でつかんだチャンスに7番・赤羽 宏介内野手(3年)の二塁打で1点を入れて12―5としてコールドゲームが成立した。

 日大豊山の投手陣は、先発の石田をはじめとして、経験を積んで、これから整備されていく感じだ。その意味では、都大会は夏に向けてのステップといった感じだが、公式戦で大きく成長する可能性もある。福島監督は都大会に向けて、「今日の反省を生かして臨みたいです」と語る。都大会でカギを握るのは、やはり投手力となる。

 一方駒場学園は、秋も春も、都大会に出場できなかったが、決して侮れないチームだ。