◇米国男子◇バルスパー選手権 最終日(23日)◇イニスブルックリゾート&GCコパーヘッドコース(フロリダ州)◇7352yd(パー71)自分でエントリーはしたものの、ビクトル・ホブラン(ノルウェー)は今週プレーするか迷っていた。なにせ状態が…

◇米国男子◇バルスパー選手権 最終日(23日)◇イニスブルックリゾート&GCコパーヘッドコース(フロリダ州)◇7352yd(パー71)
自分でエントリーはしたものの、ビクトル・ホブラン(ノルウェー)は今週プレーするか迷っていた。なにせ状態が良くない。2023年にフェデックスカップ年間王者に輝き、最高で3位だった世界ランキングは開幕前に19位と21年以降でワーストの数字だった。前週「ザ・プレーヤーズ選手権」でも初日に「80」を打って3試合連続となる予選落ちを喫していた。
「以前は予選落ちをしても、自分のプレーは大丈夫だと感じていたし、次の週には勝てるような気がしていた。でも、この1年半は、自分のゴルフがあまり良くないことも、何か問題があることも分かっていたから」。開幕2日前、18日(火)の遅くにコースへ来て9ホールを回り、やっと決心がついた。それまで車で2時間ほどの距離にあるフロリダ州オーランドでかつてのコーチ、グラント・ウェイト氏のもとで指導を受けたことも大きかった。「まだ(スイングで)発生する問題は変わらない。でも、いい方向には進めたんだ」
サンデーバックナインでジャスティン・トーマスに一時は3打差をつけられながら、残り5ホールからまくってみせた。最難関16番は池に沿った右ドッグレッグのパー4。本来なら苦にしないロケーションも、「いまのミスの傾向は大きなプッシュフェード。確実に池に入る」。1Wを“握れない”状態で、風が弱く、ティイングエリアも少し上がった分だけ3Iで打てたのは幸いだった。しっかりフェアウェイを捉え、7Iでピンそば1.5mに絡めるバーディを奪うと、続く17番(パー3)も5Iで左奥のピンまで飛ばして2連続。2023年「ツアー選手権」以来の7勝目を引き寄せた。
スイングの悩みが尽きず、次から次へとコーチを変えることが話題にもなった。キャディからの“完璧主義者”という見解に同意した上で熱く持論を展開する。「何かを一生懸命やるなら、正しくやった方がいい。僕らはプロのアスリートなのに、『完璧主義者だ』『形ばかり気にしすぎている』みたいな目で見られるのはちょっとおかしい気がする。これが僕らの仕事で、勝つためにここにいる。うまくなろうとしないなら、何をしているっていうんだ?」
求めるものとはほど遠い状態でつかんだ久々のタイトル。「自分自身を褒めてあげないといけないし、どんなにショットの状態が悪くても、いいスコアを出すことはできる」と言った後で、3週後のメジャー初戦「マスターズ」への収穫を聞かれて“らしく”返した。「いま自分が打っているいくつかのショットでは、オーガスタで競争に残るのは難しくなる。自分で完璧主義者と言っているようなものだけど…」。大一番へ、すでに頭は切り替わっている。(フロリダ州パームハーバー/亀山泰宏)