鶴岡慎也の2025年日本ハム戦力分析(後編)前編:鶴岡慎也が2025年の日本ハム新戦力を診断はこちら>> 昨シーズン、ソフトバンクが2位に13.5ゲーム差をつけるなど圧倒的な力を見せつけたが、今季はどうなるのか? 鶴岡慎也氏に今季パ・リーグ…
鶴岡慎也の2025年日本ハム戦力分析(後編)
前編:鶴岡慎也が2025年の日本ハム新戦力を診断はこちら>>
昨シーズン、ソフトバンクが2位に13.5ゲーム差をつけるなど圧倒的な力を見せつけたが、今季はどうなるのか? 鶴岡慎也氏に今季パ・リーグの順位を予想してもらった。
昨シーズン20セーブを挙げた日本ハム・田中正義
photo by Koike Yoshihiro
【先発、リリーフ陣とも大充実】
── 昨年の日本ハムは優勝したソフトバンクに12勝12敗、3位ロッテには18勝6敗。2年連続最下位から2位浮上を果たし、クライマックス・シリーズに進出しました。新庄監督4年目は、まさに集大成になりますね。
鶴岡 新庄監督は今年の戦力に相当手応えを感じていると思います。
── 新庄監督から「優勝」にまつわるフレーズは飛び出しましたか?
鶴岡 今年の春季キャンプ中、新庄監督はいい意味で存在感がありませんでした。「3年間一緒にやってきたんだから、わかっているでしょ。ちゃんとやってね」という雰囲気でした。まさしく"強いチーム"のキャンプでした。1、2年は投内連携もサインプレーもミスの連続だったのですが、今年はキャンプで目立ったミスはほとんどなかった。サインプレーでは張り詰めた緊張感がありました。
── ブルペンは、先発陣もリリーフ陣も充実の様相を呈しています。
鶴岡 先発は、開幕投手に指名された金村尚真、昨年最多勝と最高勝率のタイトルを獲得した伊藤大海、左腕の加藤貴之、山﨑福也、好調な北山亘基と福島蓮......これですでに6枚です。さらに、昨年のドラフト1位左腕・細野晴希やドリュー・バーヘイゲンも控えています。「期待する投手」ではなく、「計算できる投手」が揃っています。
── リリーフも駒は揃っています。
鶴岡 左腕は昨年、最優秀中継ぎのタイトルを獲得した河野竜生に、史上4人目の通算900登板まで残り31試合の宮西尚生。右は杉浦稔大や山本拓実の昨年防御率1点台コンビ、実績ある池田隆英や生田目翼もいます。一軍投手枠は先発、抑えを含めて計12、13人ですが、あふれてしまいそうです。
── 抑えはいかがですか?
鶴岡 2年連続20セーブをマークした田中正義がいます。このキャンプ中にインタビューしたのですが、顔つきが堂々としていました。昨年のファンフェスタで新庄監督が「抑えは田中正義と齋藤友貴哉のダブルストッパーでいく」と公言しました。齋藤は昨年25試合に登板して1勝1敗1セーブ1ホールド、防御率1.71。最速160キロのストレートが魅力です。
【ツープラトンが組める打線】
── 一方の攻撃陣ですが、昨年チーム総得点はリーグ2位と破壊力が出てきました。
鶴岡 新庄監督がレギュラーを明言しているのは、開幕4番に内定している野村佑希だけです。昨年ベストナインのフランミル・レイエスがDHなら、4年10億円(推定)の契約を結んだアリエル・マルティネスが試合に出られないのです。
── 野村が一塁を守るとなると、本来は捕手登録ながら昨年一塁を守っていたマルティネスが試合に出られないということですね。
鶴岡 それこそ捕手登録ながら、昨年はおもに三塁を守った郡司裕也が今年は「捕手9割」と言っています。でも、捕手には昨年ブレークした田宮裕涼やベテランの伏見寅威がいます。
── それにしても、相手投手の左右によってツープラトン打線が組めるほど、選手層に厚みがあります。
鶴岡 そうです。相手が左投手の時は水谷瞬、松本剛、奈良間大己、山縣秀らの右打者が、右投手の時は五十幡亮汰、矢澤宏太、淺間大基、上川畑大悟、水野達稀といった左打者で打線が組めます。また紅白戦では、"パワー型"の水谷、松本の1・2番、"スピード型"の五十幡、矢澤の1・2番を試していました。ソフトバンク並みの選手層になってきたと言っても過言ではありません。
【優勝のキーマンは?】
── ズバリ、順位予想は?
鶴岡 優勝は日本ハムです! 昨年は優勝したソフトバンクに13.5ゲーム離されての2位でした。しかし、ソフトバンクとの直接対決は12勝12敗のタイ。今年の選手層を考えると、ソフトバンクとは5ゲーム差以内の争いになると思います。
── それ以外の順位はどうですか。
鶴岡 3位にオリックス、4位にロッテ、5位に楽天、そして最下位が西武です。3位以下は団子状態になると予想します。
── では日本ハム優勝へのキーマンは誰ですか。
鶴岡 開幕投手に指名された金村とクローザーの田中です。特に田中ですね。勝ちゲームで登板すると思うのですが、そのまま試合を終わらせることができるかどうか。クローザーが打たれて試合を落とすと、2敗分のダメージがありますから。1点差ゲームは、2023年が17勝31敗、24年は28勝17敗でした。今年も9回をどうしのぐかが、日本ハム優勝のカギと見ています。
── 野手のキーマンは?
鶴岡 "ロマン砲トリオ"と呼ばれる清宮幸太郎、野村、万波中正です。なかでも昨年136試合に出場し18本塁打、60打点の万波には、さらなる飛躍を期待します。キーマンが頑張って、2016年以来の優勝を期待しています。
鶴岡慎也(つるおか・しんや)/1981年4月11日、鹿児島県生まれ。樟南高校時代に2度甲子園出場。三菱重工横浜硬式野球クラブを経て、2002年ドラフト8巡目で日本ハムに入団。2005年に一軍入りを果たすと、その後、4度のリーグ優勝に貢献。2014年にFAでソフトバンクに移籍。2014、15年と連続日本一を達成。2017年オフに再取得したFAで日本ハムに復帰。2021年オフに日本ハムを退団した