第97回選抜高校野球大会第6日の23日、健大高崎(群馬)は第3試合で敦賀気比(福井)と対戦。4―3で接戦を制し、優勝した昨年に続き準々決勝進出を決めた。健大高崎は一回に2点適時打2本で一挙4点を先取。六回に3点を奪われ1点差に迫られたが、…

 第97回選抜高校野球大会第6日の23日、健大高崎(群馬)は第3試合で敦賀気比(福井)と対戦。4―3で接戦を制し、優勝した昨年に続き準々決勝進出を決めた。健大高崎は一回に2点適時打2本で一挙4点を先取。六回に3点を奪われ1点差に迫られたが、逃げ切った。準々決勝は大会第9日第1試合(26日午前8時半試合開始予定)で花巻東(岩手)と対戦する。

 ◎…いきなり健大高崎が強打を発揮する。一回表、1番の石田雄星(2年)が右前安打。犠打と内野安打、死球で満塁。

 打席には栗原朋希(3年)。1回戦では7番打者として勝負を決める勝ち越し適時二塁打を放ち、この日は5番に抜擢された。

 併殺は避けたい。「とにかく外野に1本が欲しい」。短くバットを持った。低めの難しい変化球にバットのヘッドを残してうまく合わせる。右中間への適時打で2点を先取した。「先制打がほしい場面でヒットが打ててよかった」と栗原。

 ここで終わらない。

 7番杉山翔大(3年)は「相手は変化球が多いというデータはチームで共有していた」。低めの変化球にうまく対応し、左翼線への適時二塁打で2点を追加。この回一挙4点を奪った。

 杉山は「みんながつないでくれた。流れを切らさず追加点を取れた」と喜んだ。

 ◎…この日も先発マウンドは、背番号10の左腕・下重賢慎(3年)だった。1回戦の明徳義塾(高知)戦では136球完投勝利。この日も力のある直球、独特の握りから繰り出すツーシーム、鋭く曲がるスライダーを駆使し、打者のタイミングをうまくかわす。五回まで無安打無失点で完璧に抑えた。

 ピンチは突然やってきた。六回裏。五回終了後のグラウンド整備中、生方啓介部長が「相手は後半にも取り返す力がある。油断することなくやっていこう」と選手たちに呼び掛けた。

 だが、低めに決まっていた下重のチェンジアップが高めに浮き始める。先頭打者を四球で出塁させた。すると守備のリズムも突如乱れた。失策と四球で満塁。犠飛と適時打で3点を奪われた。

 ◎…さらに1死満塁のピンチ。スクイズバントの打球が捕手前にはねる。捕手の小堀弘晴(3年)が冷静に本塁を踏んで一塁に送球し併殺とした。思わず下重は雄叫びをあげ、ガッツポーズ。小堀は「とにかく落ち着いてやろう、いつも通りのピッチングをすれば大丈夫」と励まし続けた。八回裏も2死一、二塁のピンチを迎えたが、冷静に逃げ切った。

 九回裏。2死を奪って四球を与え、背番号1の石垣元気(3年)がマウンドへ。石垣は150キロ台の直球を繰り出し甲子園がどよめく。最後をピシャリと抑えた。

 下重は「投げきれなかったのは自分の力不足」と反省しながら「仲間に助けられた」と振り返った。(中沢絢乃)

 ○加藤大成主将(健大高崎) 「うれしいが、基本的なミスが大事な場面であり、あまり勝った気がしない。この先は一つのミスが重くなる。丁寧にプレーしたい」

 ○青柳博文監督(健大高崎) 「最後まで分からない、厳しい試合だった。甲子園で勝つのは大変と感じた。粘れる強さが出ているので、次も勝ちたい」

 ●岡部飛雄馬主将(敦賀気比) 「ヒットを1本も打てなかったので悔いが残る。詰めの甘さがあったので、夏に向けて小さなミスがないようにしたい」

 ●東哲平監督(敦賀気比) 「格上の相手でも惜しいところまでゲームができるようになったのは、成長を感じる。粘り強いチームになってきている」