◆大相撲春場所千秋楽(23日・エディオンアリーナ大阪) 大関・大の里(24)=二所ノ関=が12勝3敗で3度目の優勝を果たした。結びで大関・琴桜に寄り切りで勝ち、東前頭4枚目・高安(35)=田子ノ浦=との優勝決定戦を制し、昇進3場所目で大関初…
◆大相撲春場所千秋楽(23日・エディオンアリーナ大阪)
大関・大の里(24)=二所ノ関=が12勝3敗で3度目の優勝を果たした。結びで大関・琴桜に寄り切りで勝ち、東前頭4枚目・高安(35)=田子ノ浦=との優勝決定戦を制し、昇進3場所目で大関初制覇を決めた。
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大の里の優勝は立派だが、強いと思った15日間ではなかった。序盤は手探り。4日目に若元春に力負けしても問題はないと感じた。異変は中盤から後半だ。右を差せないとすぐに引いてしまう“毒まんじゅう”と呼ばれる悪癖が出た。12日目の尊富士との一番は何とか白星を拾ったが、13日目の王鵬には通用しなかった。爆発力を見せたのは14日目と千秋楽の本割と決定戦の3番だけ。内容的には不満が残る場所だった。
来場所は綱取りになる。今場所のような内容で普通の数字での優勝、準優勝なら、見送られる公算が大きいとみている。前に出る圧倒的なパワーで15日間を戦い抜き、圧倒的な成績を残せば綱は張れるだろう。
今夜は高安を思って泣きたい。相撲の神様はどうして無情なのだ。中学を卒業してコツコツと努力してきた“たたき上げ”。三度目の正直という言葉はどこにいった。NHKの解説者として中立な立場を装いながら、心の中では「負けるな高安」と声援を送っていた。
決定戦。立ち合いですぐに得意の左四つになったが、悲しいかな当たりは大の里の方が上だった。馬力も止められなかった。思い出すだけでも涙が出てくる。高安にかける言葉が見つからない。(スポーツ報知評論家)