8大会連続となるワールドカップ出場を決めたサッカー日本代表。バーレーン代表をホームに迎えた一戦では、苦戦はしたものの、チームの成長が見て取れた。サッカージャーナリストの大住良之がこの試合で感じた、世界の大舞台における日本代表の「さらなる飛…
8大会連続となるワールドカップ出場を決めたサッカー日本代表。バーレーン代表をホームに迎えた一戦では、苦戦はしたものの、チームの成長が見て取れた。サッカージャーナリストの大住良之がこの試合で感じた、世界の大舞台における日本代表の「さらなる飛躍」の手応え!
■一緒にできたのは「2日間」だけ
年末から年初にかけてクウェートで開催された「ガルフカップ」で優勝を飾り、初めてのワールドカップ出場権獲得に意欲を見せるバーレーンは、国内で3月9日から合宿を行い、試合の1週間前に当たる3月13日には来日してコンディションを整えてきた。
対する日本は、11月以来4か月ぶりの招集で、前週末の試合を終えて大半の選手が欧州から移動し、一緒にトレーニングできたのは2日間だけという、ワールドカップ予選につきものの悪条件だった。時差調整の面でも「アウェーチーム」に圧倒的なアドバンテージがあったのである。両チームのコンディションの違いは明白だった。
バーレーンの好調さは、試合前のウォーミングアップを見るだけでもうかがわれた。ペナルティーエリア外からのシュートがほとんど低く左右の隅に決まっていたのだ。日本選手を見ると、ゴールの枠をとらえきれないケースが半分近くあった。
■守田英正に代えて投入した「狙い」
当然、森保一監督はそうした状況を把握し、「うまくいかなくても我慢強く戦うこと」と再三注意したはずだ。前半のシュート数はわずかに3本(バーレーンは2本)。なかなかチャンスはつくれなかったが、それでもハーフタイムに森保監督は「我慢強く、現実的な戦い方ができている」と選手たちに話した。
ハータイムを経て、森保監督はボランチのMF守田英正に代えてMF田中碧を投入した。守田はボールタッチの回数も多く、悪くはなかったが、ケガ明けのコンディションであることと、現在所属チームで絶好調の田中のプレーメークに期待したのだろう。だが、それでも、後半の最初の15分は、前半の後半とほとんど差のない試合内容だった。
■フリーの三笘薫ではなく「右にパス」
突然試合が動いたのは後半21分。自陣でDFとボランチでパスを回し、伊藤洋輝にボールが渡る。伊藤は相手が右から当たりにくるのを見てボールを押し出して前進、これをかわす。その瞬間、最前線の上田綺世がタイミングよく下がってフリーになる。伊藤からパス。上田は一歩遅れた相手DFをかわしてターンしながら前へ向く。そこに右インサイドから久保建英が走り込み、上田からパスが出る。
スピードを上げて前進する久保。交代で入ったばかりのMF鎌田大地がその背後を回り込みながら右に出る。左からはフリーの三笘薫。しかし、久保はあえて相手に切られているはずの右にパス。ボールはペナルティーエリア内に転がる。走り込む鎌田。バーレーンGKエブラヒム・ハリル・ルトファラが前進する。
追いついた鎌田のシュートがすごかった。足元に倒れ込んでくるルトファラを見ると、左足を思い切りボールの前に踏み込んで右足インサイドでボールの上を叩いたのだ。ボールは強くバウンドしてルトファラの上を越え、ゴールに吸い込まれた。