選抜高校野球2回戦(23日、甲子園)○健大高崎(群馬)4―3敦賀気比(福井)● 今の健大高崎を貫く信念がある。「機動破壊」の伝統を壊してはいけない――。 そんな変わらない走塁意識の高さが、一挙4点を挙げた初回の攻撃に表れた。一回、右前…

【健大高崎-敦賀気比】一回表健大高崎1死満塁、栗原の安打で三塁走者に続いて生還し喜ぶ二塁走者・秋山(右)=阪神甲子園球場で2025年3月23日、渡部直樹撮影

選抜高校野球2回戦(23日、甲子園)

○健大高崎(群馬)4―3敦賀気比(福井)●

 今の健大高崎を貫く信念がある。「機動破壊」の伝統を壊してはいけない――。

 そんな変わらない走塁意識の高さが、一挙4点を挙げた初回の攻撃に表れた。一回、右前打を放った先頭の石田雄星は、続く加藤大成の初球に一塁上でスタートを切る仕草を見せる「偽走」の動きをした。

 「少しでも自分を意識させたかった」と石田雄星。加藤の犠打で1死二塁とし、3番・秋山潤琉(ういる)も内野安打で出塁すると、同じく偽走を見せた。

 敦賀気比の先発・管田彪翔(ひゅうが)はけん制を繰り返す。「ただ打つだけのチームじゃない。嫌な野球をしてくる」。制球が定まらなくなった。

 健大高崎は死球で1死満塁と好機を広げ、5番・栗原朋希の適時打で2点を先取。一回で主導権を握った。栗原は「走者と一緒に投手を攻められた結果」と笑みを浮かべた。

 健大高崎は機動力に長打を絡めた攻撃が伝統だ。前主将の箱山遥人らを擁して優勝した前回大会と比べるとパワーではやや劣るが、走塁への意識は昨年以上だ。

 例えば週に数回、偽走に特化したトレーニングを行う。偽走は相手投手や捕手の特徴に応じ、動きのテンポや走りのフォームを変えた複数のパターンを準備している。「走塁で投手を“攻撃”する意識は強い。常に相手のミスを狙う走塁を心がけている」。秋山はそう言って胸を張った。【深野麟之介】