◇国内女子◇Vポイント×SMBC レディスゴルフトーナメント 最終日(23日)◇紫CC すみれC(千葉)◇6668yd(パー72)◇晴れ8打差をつけて入った最終日、連続バーディで走り出したときに「あ、自分のゴルフをしても良い日だと思った」…

「なるようになる」が合言葉

◇国内女子◇Vポイント×SMBC レディスゴルフトーナメント 最終日(23日)◇紫CC すみれC(千葉)◇6668yd(パー72)◇晴れ

8打差をつけて入った最終日、連続バーディで走り出したときに「あ、自分のゴルフをしても良い日だと思った」。吉田優利が叩き出した通算13アンダーの優勝スコアは、大会で唯一の2桁アンダー。2位に9打差をつける“異次元”の圧勝は、これまでの3勝とは違った。

「いままでの3勝は、勢いや怖いものを知らなかったとか、そういうので優勝できた部分はもちろんあった。今回はやりたいゴルフができたラウンドが続いた」。2日目に「64」をマークして単独首位につけると、最終日は1番、2番とピンのショートサイドを狙って連続バーディ。2ホールで2位に10打差をつけて後続を寄せ付けなかった。

妹の鈴(右)も祝福

3日間を通じてファウェイキープ率83.33%(35/42)と正確なショットを生んだ一因は、昨年米ツアーを戦って変えたスイングにある。「言語化するのは難しいですけど。タイミングが悪い時は、インパクトのタイミングが遅くなる」と、速いタイミングで球を捉えるイメージを徹底したことでショットが安定したと振り返る。

技術面以上に大きく変化があったのは、ゴルフに向き合う価値観だ。「アメリカに行ったら何が起こるか分からないし、ゴルフをルーティン通りにやれなくなった」。フライト遅延などの移動トラブルはつきもの。「去年、ハワイからフロリダに移動したときの時差ボケがひどくて、月曜に練習ができなかった」と日本の時に確立したルーティンは通用しない。「昔よりは“意外となんでもいけるな”って。なるようになる」と楽観的になれたという。

去年はなかった余裕がある

昨年は米ツアー16試合に出て予選通過は7試合のみと試行錯誤が続き、結果を出そうと必死になるあまり精神的にも苦しんだ。「いま自分ができるパフォーマンスのなかで、どうスコアメークするかを考えるようになったのが一番の学び」。精神面でも寛容になれたことは、米ツアーで学んだことのひとつだった。

「結果を求めるよりも、気持ちよくゴルフがしたい」と最終日も自分がやるべきことに集中したが、どうしても許せない部分がひとつだけ。最終18番(パー5)で、4m弱のバーディパットが「強ければ入っていた」とカップをわずかに逸れて入らなかった。序盤3番、4番でもショートするパットが続き、「打ちきれなかったのが、すごい、悔しいラウンドでした」と振り返る。寛容になった反面、変わらないストイックさも強さの一因だ。

フラワーシャワーで祝福

2023年「ワールドレディスサロンパスカップ」以来、2年ぶりの国内4勝目をあげても、すでに意識は次の試合に向いている。本大会を終えて、27日開幕の米ツアー「フォード選手権」(アリゾナ州・ワールウインドGC)に参戦する。

「まだリシャッフルだったり、ランキングっていうのも気にしないといけない立場」と気を引き締めつつ、昨年は持てなかった余裕がいまはある。「もちろんシードをとりたいし、ずっと上で戦いたいけど、試合をこなしていく中でなるようになる」と笑顔で話した。(千葉県野田市/谷口愛純)