日本航空石川の吹奏楽部、青梅第三中と明星大が友情応援 第97回選抜高校野球大会は23日、大会第6日が行われ、第1試合は日本航空石川(石川)が東海大札幌(北海道)と対戦。2度のリードを守れず、9回2死から逆転負けを喫した。あと1人で7年ぶりの…
日本航空石川の吹奏楽部、青梅第三中と明星大が友情応援
第97回選抜高校野球大会は23日、大会第6日が行われ、第1試合は日本航空石川(石川)が東海大札幌(北海道)と対戦。2度のリードを守れず、9回2死から逆転負けを喫した。あと1人で7年ぶりの春勝利は逃したものの、アルプスの大声援を背に大熱戦を展開。復興を目指す地元の能登に勇気と元気を届けた。
昨年1月の能登半島地震の影響で校舎が使用できず、全校生徒約550人が4月に系列の専門学校の生徒や教職員とともに東京都青梅市の大学跡地に避難。地元の輪島市に戻った野球部員を除く約450人(今春の卒業生含む)の生徒が東京で授業や部活動を続けている。アルプスに駆けつけた吹奏楽部のメンバーも同様で、輪島市出身である顧問の藤井一弥さんは「選手は元気にプレーし、私たちは精いっぱい応援して、地元に届くようにやっています」と故郷への思いを口にした。
アルプスには青梅市からバス8台、系列校がある山梨からは2台、保護者バス5台など各地から2400人が集結。攻撃中は吹奏楽部の演奏にも乗り、大きな声援を送った。航空系の高校とあって「浪漫飛行」「宇宙戦艦ヤマト」など“飛躍”をイメージする曲を中心に、20曲が入れ替わるように奏でられ、打線は11安打で6得点。スタンドは何度も沸き返った。
能登地方は昨年9月には豪雨被害にも遭い、復興の道はまだ半ば。今年1月、吹奏楽部は青梅第三中、東京都日野市にキャンパスがある明星大などと合同で復興支援のチャリティーコンサートを開催した。その縁で今回、青梅第三中20人、明星大5人も友情応援で参戦。藤井さんは「昨年とは違った景色に見えます。復興の輪は広がっている。音楽は直接的なサポートはできなくても、心に響かせることはできる。少しでも復興の助けになれば」と力を込めた。
能登に戻る計画は見送り…野球部も4月から東京で活動
球場に響き渡った総勢80人の演奏。副部長の佐野凜さんは「そろって練習する時間がなくて大変でした。今のフルメンバーでやるのは初めてなんです」と合同で応援曲を奏でるのは“ぶっつけ本番”だったことを明かした。
青梅第三中は昨年10月の東日本学校吹奏楽大会で金賞を獲得するなどの実績がある。何の違和感もない迫力十分の演奏に、佐野さんは「みんな技術、対応力が高い。臨機応変にやってくれているおかげです」と感謝。「復興には時間がかかる部分も多いけど、能登へのエールになればいい。演奏も1つのエールになれればいいと思います」。テレビやラジオを通じて伝えたい気持ちがあると強調した。
昨年は1回戦で常総学院(茨城)に0-1で惜敗。今年も9回2死までリードしながら敗れた。能登半島地震後は2年連続で1点届かず2019年春以来、遠ざかる甲子園での白星。それでも奮闘したナインには大きな拍手が送られた。
一時浮上していた、東京で生活する一部生徒が能登に戻る計画は見送られ、野球部も4月からは東京での活動になる。苦難の道はまだ続くが、能登を元気づけたい思いは、グラウンドの選手もアルプスの応援団も同じ。誰もが少しでも早い復興を願っている。(尾辻剛 / Go Otsuji)