選抜高校野球大会は1回戦16試合を終え、本塁打は「ランニング本塁打」の1本のみで柵越えは1本も出てない。全チームが初戦を終えた時点での本塁打1本は、金属バットが導入された1975年の第47回大会以降最少。 1回戦で唯一の本塁打となった「ラ…

【大垣日大-西日本短大付】七回裏西日本短大付無死、斉藤大将選手がランニング本塁打を放ち、塁を回る=阪神甲子園球場で2025年3月20日、金澤稔撮影

 選抜高校野球大会は1回戦16試合を終え、本塁打は「ランニング本塁打」の1本のみで柵越えは1本も出てない。全チームが初戦を終えた時点での本塁打1本は、金属バットが導入された1975年の第47回大会以降最少。

 1回戦で唯一の本塁打となった「ランニング本塁打」は、20日に西日本短大付(福岡)の斉藤大将(だいすけ)選手が大垣日大(岐阜)との試合で放った。左中間への飛球を大垣日大の左翼手がグラブではじき(記録は安打)、打球が転がる間に快足を飛ばして一気に生還した。一方で、柵越えは出ず、長打よりも小技や機動力を生かして得点する場面が目立っている。

 記念大会によって出場チーム数や試合数に違いはあるが、全チームが初戦を終えた時点で本塁打数がこれまで最も少なかったのは2022年の第94回大会の1本。開幕試合で浦和学院の高山維月(いつき)選手がバックスクリーン右に運び、1回戦で唯一の一発となった。2回戦以降は打線が活発になり、最終的に18本塁打を記録した。

 当時は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、調整や練習の不足が指摘された。今回は前回大会から本格導入された新基準の反発性を抑えた低反発バットが影響している。

 前回大会の本塁打はランニング本塁打1本を含む計3本で前年の12本から大きく減り、1975年以降で最少を記録。昨夏の甲子園大会も同大会に金属バットが導入された1974年以降で最少の7本で前年の23本から激減した。

 低反発バット導入2シーズン目を迎え、打者の適応力が注目されている今大会。柵越えのアーチは描けるか。【長宗拓弥】