若手が野球にのめり込める環境作りに没頭するワシントン監督。(C)Getty Images 果たして、チーム強化に繋がるのか。昨季のMLBで球団ワーストの99敗を喫したエンゼルスがチームに設けた“施策”が波紋を呼んでい…

 

若手が野球にのめり込める環境作りに没頭するワシントン監督。(C)Getty Images

 

 果たして、チーム強化に繋がるのか。昨季のMLBで球団ワーストの99敗を喫したエンゼルスがチームに設けた“施策”が波紋を呼んでいる。

 SNSが隆盛を極める時代にあって議論百出となる決定だった。米スポーツ専門局『ESPN』など複数メディアによれば、エンゼルスのロン・ワシントン監督はチーム改革の一環として、クラブハウス内での携帯電話の使用禁止を厳命。さらに主砲のマイク・トラウトと先発右腕のカイル・ヘンドリックスの両ベテランを“お目付け役”にし、違反者に500ドル(約7万4500円)の罰金を課す方針を打ち出した。

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 2007年から7年間も率いたレンジャーズでの監督時代にも同様の禁止策を設けていたワシントン監督。あくまで「罰じゃない。もっと野球に集中できるようにしたいだけ」と望む名伯楽の意図は、実に興味深い。

 ただ、スマホを手放せない若手たちにとっては理解を得られない可能性もゼロではない。その不便さから新たな反発が生まれるリスクはあるため、ワシントン監督の施策には「チームを石器時代に逆戻りさせるもの」という批判的な意見も相次いでいる。

 もっとも、米メディアでは抜本的な改革は好評だ。エンゼルスの専門サイト『Halo Hangout』は「一見、馬鹿げたアイデアに思えるが、よく考えてみると理にかなっている」と断言。「そのポリシーは型破りだが、間違いなく価値がある」と若手の意識改革に繋がると訴えた。

 また、現役時代にMLB通算158セーブを挙げたダン・プリーサック氏は、MLBの公式ネット局『MLB Network』の番組内で「とくにSNSには気が散る要素が多く、集中力は失われやすい。私が現役だった頃に比べて、あらゆる反応がすぐに返ってくる今の選手は本当に大変なんだ。そういう意味でも本当に良いルールと思う」と論じた。

「今は選手たちが必要以上にお行儀よくしている印象が私にはある。すべてのチームに当てはまるとは思わないが、結束を高めたい、もしくは選手との関係性を深めたいと思うなら効果的だ。ただ、クラブハウスに入る時だけ携帯をしまってやるべきことに集中しておけばいいんだ」

 クラブハウス内でのコミュニケーションの必要性を訴えるプリーサック氏は、「スマホは若い選手たちの生活の一部になりすぎている。私ですら家に忘れた時には世界との繋がりを失った感覚になる」と指摘。その上で「だからこそスマホを使う時間とそうじゃない時を分けるのは良いと思うんだ。何よりも大切にすべきは仲間との交流だ。ベテランがルールを率先して守ることがカギになるだろうね」と断言した。

 果たして、名将の用いた策は時代遅れなのかどうか。その効果はレギュラーシーズン中のエンゼルスの戦いぶりによって証明されると言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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