8大会連続となるワールドカップ出場を決めたサッカー日本代表。バーレーン代表をホームに迎えた一戦では、苦戦はしたものの、チームの成長が見て取れた。サッカージャーナリストの大住良之がこの試合で感じた、世界の大舞台における日本代表の「さらなる飛…

 8大会連続となるワールドカップ出場を決めたサッカー日本代表。バーレーン代表をホームに迎えた一戦では、苦戦はしたものの、チームの成長が見て取れた。サッカージャーナリストの大住良之がこの試合で感じた、世界の大舞台における日本代表の「さらなる飛躍」の手応え!

■32年の時を経て「実現した」夢

「祝、ワールドカップ2026出場決定!」

 今回は、「オピニオン」というより「感想文」である。

 3月20日、日本代表はバーレーンを2-0で下し、最終予選全10節のうち3節を残した時点で早くもワールドカップ2026北米(アメリカ、カナダ、メキシコ)の出場権を獲得した。この大会の予選勝ち抜き第1号。そして、ワールドカップ出場は、1998年フランス大会以来、8大会連続となった。

 1994年アメリカ大会のアジア予選(最終予選は1993年10月にカタールのドーハで開催)のときにサポーターが「リパブリック賛歌」のメロディーで「アメリカに行こう」と歌っていたが、32年の年月を経て、その夢がかなうことになる。

 ただ、「3か国共同開催」とは言いつつ、大半の試合はアメリカで行われるので、日本代表が「アメリカに行ける」のはまず間違いないと思うのだが、A組だけは6試合中5試合がメキシコでの開催。わずかながら「アメリカに行けない」可能性もある。

■立ち上がり15分間の「支配率」

 さて、その出場権獲得を決めたバーレーン戦は本当に厳しい試合だった。

 立ち上がりからボールを支配されて攻め込まれ、日本がボールを持ってもすぐに囲い込まれて、なかなかパスがつながらない。日本にボールが渡るとバーレーンは2人、3人と群がるように保持した選手を追い詰め、日本選手がなんとか切り抜けても次のパスが不正確になったり、そこをまた狙われたりした。

 日本サッカー協会が出した公式記録によれば、立ち上がり15分間のボール支配率は日本48.0%に対し、バーレーンは52.0%。以後の時間では日本が落ち着き、前半15分~30分では71.0%対29.0%、試合全体を通すと60.9%対39.1%となることからも、バーレーンの「入り」がいかに良かった(あるいは日本が悪かった)かは、一目瞭然だ。

 そして、この時間を過ぎても、日本のボール保持はDFラインとボランチでの「行っては帰り」が多く、なかなか「縦」に「差し込む」ことができなかった。縦パスを送っても、そこに厳しくプレッシャーをかけられて、戻すしかなかったのだ。

 その結果、これまでの予選6試合で威力を発揮してきた日本のコンビネーション攻撃はほとんど発動されなかった。

■DFラインからの「フィードの質」

 見事なコンビネーション攻撃が出たのは、前半ではわずか2回。そのひとつは8分、DF瀬古歩夢を起点にMF堂安律-FW上田綺世-MF久保建英と1タッチでパスがつながって久保が右から侵入、中央に入れようとしたボールは相手に当たったがMF遠藤航が拾い、久保に縦パスを送ってシュートチャンスが生まれたとき(相手DFがクリア)、そして前半アディショナルタイム、DF板倉滉を起点にMF守田英正-MF三笘薫と縦につながり、三笘がシュート(大きく上に外れる)を放ったシーンだけだった。

 日本の組織としての問題点はDFラインからのフィードの質が低かった(あるいは出そうとしなかった)ことだった。この最終予選が始まった頃のトリオは、谷口彰悟を中心に右に板倉、左に町田浩樹という組み合わせだったが、谷口が負傷で11月シリーズから欠場し、町田も負傷で今回チーム入りできなかった。

 その結果、板倉を中心に右に瀬古、左に伊藤洋輝という組み合わせになったのだが、瀬古と伊藤からなかなかパスが出なかったのだ。現在の「3-4-3」の布陣ではDFのフィード能力が生命線とまで言えるほど重要なのだが、そこが効果的ではなかったことが、日本の苦戦のひとつの要因だった。

 さらに、前線の選手たち、三笘薫、上田綺世、MF南野拓実といった選手たちも、どこかボールが足につかない様子で、小さなコントロールミスでプレーを苦しくしてしまっていた。

 しかし、このような試合になった最大の要因は「コンディション」の差だった。

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