選抜高校野球1回戦(22日、甲子園)○浦和実(埼玉)3―0滋賀学園● 肩付近まで足を高く上げて、左腕を隠すような独特な投球フォームで滋賀学園打線を翻弄(ほんろう)した。 浦和実のエース左腕・石戸颯汰(そうた)は被安打6に抑え、115球…

【浦和実-滋賀学園】浦和実の先発・石戸=阪神甲子園球場で2025年3月22日、金澤稔撮影

選抜高校野球1回戦(22日、甲子園)

○浦和実(埼玉)3―0滋賀学園●

 肩付近まで足を高く上げて、左腕を隠すような独特な投球フォームで滋賀学園打線を翻弄(ほんろう)した。

 浦和実のエース左腕・石戸颯汰(そうた)は被安打6に抑え、115球で完封した。

 27個のアウトのうち、16個がフライアウト。捕手の野本大智は「勝つ時はフライアウトが多い。高めの球が垂れない。きょうの球質なら、コースを間違えなければ打ち取れると思った」。

 直球の最速は130キロながら、スライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜた。石戸は「(タイミングをずらすこともせず)全く同じ動きをイメージして投げている」と話すが、滋賀学園の打者からは「チェンジアップが止まって見えた」と困惑の声が漏れた。

 特にチェンジアップがさえたのは、3点リードで迎えた七回1死二、三塁のピンチ。8番打者を追い込み、最後はチェンジアップで空振り三振を奪った。「1個アウトが取れて、楽な気持ちになれたのが大きかった」

 続く9番打者は一転して、高めの直球を振らせて連続三振に切って取った。石戸は冷静な表情こそ崩さなかったが、ベンチにさっそうと駆け足で帰る姿にはうれしさがにじみ出ていた。

 独特な投球フォームの原点は中学時代にある。最初は足を高く上げない投球フォームの習得を目指していた。ただ、うまくいかず、足を高く上げたところ、スムーズな投球ができるようになったという。

 足を振り下ろす時間の長さだけでなく、リリースポイントを意識し、左腕を高く上げた右足で隠すことで相手が打ちにくいように工夫している。

 昨夏には制球力が向上し、昨秋の埼玉大会でチームを優勝に導いた。関東大会では後の明治神宮大会で優勝した横浜打線を相手に接戦を演じた。辻川正彦監督は「チェンジアップもさえ、昨秋の良い時と同じだった」と語る。

 昨夏の甲子園で8強入りした滋賀学園打線を抑え、石戸は「やっぱり球の速さが全てじゃないということを証明できたので良かったです」と満足顔だった。【高橋広之】