(22日、第97回選抜高校野球大会 聖光学院4―3常葉大菊川) 九回までともに無得点のしびれる展開が続いた。延長タイブレークに入っても、譲らない。十回に2点、十一回に1点ずつ取り合う。十回からタイブレーク制が導入された第95回大会(202…
(22日、第97回選抜高校野球大会 聖光学院4―3常葉大菊川)
九回までともに無得点のしびれる展開が続いた。延長タイブレークに入っても、譲らない。十回に2点、十一回に1点ずつ取り合う。十回からタイブレーク制が導入された第95回大会(2023年)以降、選抜で初めて十二回に突入した。
光ったのが、守りだ。聖光学院の遊撃手、石沢琉聖は六回1死三塁のピンチに、「ここで1点を取られたら負けだと思っていた」。前進守備の二遊間に強い打球が転がると、飛びついて好捕。三塁走者を目で牽制(けんせい)してから一塁でアウトにした。
昨秋に計5失策。チームのすべての失策数を一人で記録した。冬場は、「至近距離から何本もノックを受けてきた」。石沢に触発されるかのように、周りの野手陣も球際の強さを発揮した。
常葉大菊川も負けていない。八回2死一塁で遊撃手の鈴木瑠惟が三遊間のゴロを捕ってすぐ、忍者のように二塁に投げて封殺。十二回裏の無死一、二塁は安打を処理した右翼手の児玉一琉がバックホームで二塁から本塁を狙った走者を刺した。
一つのミスも許されない状況で、どの選手も「練習の成果が出た」と口をそろえた。試合は十二回の犠飛で聖光学院が制したが、実戦慣れしていない春の大舞台で、最後まで互いに引き締まったプレーを見せた。
「ありがとうな」「めちゃくちゃ強かったよ」。握手を交わして健闘をたたえ合った選手たち。スコアボードのE(失策)の欄には、二つの「0」が誇らしげにともっていた。(室田賢)