(22日、第97回選抜高校野球大会1回戦 高松商2-8早稲田実) 1―8で迎えた九回裏。2死無塁で打席に立った山田圭介主将(3年)は「簡単にはアウトにならないぞ」と覚悟を決めた。 昨秋の公式戦では4割超の高打率を誇ったが、ここまでヒットなし…
(22日、第97回選抜高校野球大会1回戦 高松商2-8早稲田実)
1―8で迎えた九回裏。2死無塁で打席に立った山田圭介主将(3年)は「簡単にはアウトにならないぞ」と覚悟を決めた。
昨秋の公式戦では4割超の高打率を誇ったが、ここまでヒットなし。仲間から「山田なら流れを変えてくれる」と送り出されていた。
4球目の直球をつまりながらもライト前に打ち返した。チームは勢いづき、四球と高藤快渡選手(3年)の適時打で1点を取り返した。「伝統あるカードに恥じないよう、最後の1球まで諦めない」。試合前に意気込んでいた通り、早稲田実のペースのままに試合が終わることを阻んだ。
親子2代でたどり着いた夢舞台だった。
父・勲さん(49)も高松商でプレーした元球児。甲子園に出場できなかった父の思いを継ぐかのように、小学1年から高松商の練習をフェンスにかじりついて見た。当時から「大きくなったら高松商のユニホームを着たい」と話していた。
昨夏は香川大会決勝で英明に敗れ、あと一歩のところで届かなかった。最後の打者として打ち取られて涙を流す息子に、父は「この気持ちを忘れてはいかんで」と励ました。
ようやくたどり着いた甲子園で、101年前には優勝をもぎ取った相手に大差をつけられて敗れた。
「皆が楽しみにしていたカードで情けない試合をしてしまったことは、本当に悔しい」。主将としての責任感を胸にそう語った後、続けた。
「この負けがあってよかったと思えるよう、一回り大きくなって夏にまた戻ってくる」(木野村隆宏)