20日、北中米W杯アジア最終予選を戦った日本。埼玉スタジアム2002でバーレーン代表と対戦し、鎌田大地、久保建英のゴールで2-0で勝利を収め、8大会連続8度目のW杯出場が決定。3試合を残しての決定は史上最速であり、開催国以外では世界最速での…
20日、北中米W杯アジア最終予選を戦った日本。埼玉スタジアム2002でバーレーン代表と対戦し、鎌田大地、久保建英のゴールで2-0で勝利を収め、8大会連続8度目のW杯出場が決定。3試合を残しての決定は史上最速であり、開催国以外では世界最速での出場決定となった。
一夜明けた21日、日本サッカー協会(JFA)は報告会見を実施。宮本恒靖会長、山本昌邦ナショナルチームダイレクターと共に、森保一監督とキャプテンのMF遠藤航(リバプール)が登壇した。
森保監督は自身2度目のW杯出場を決める監督となり、日本サッカー界にとっては初の出来事に。一睡もしないまま朝の情報番組に出演したと明かした森保監督は、一夜明けて改めてW杯出場への思いを語った。
「W杯の出場権を獲得できたことは、高い目標を持ちながらもまだまだ最低限の目標かもしれませんが、当たり前のようで簡単ではないW杯出場が決められて素直に嬉しく思いますし、同時にホッとしているところもあります」
「我々がやっていることを、ファン・サポーターの皆さん、我々を応援してくださっている全てのサッカーファミリーの皆さんが喜んでくださっていることが我々の喜びなので、試合が終わってからのスタジアムの雰囲気、メディアの皆さんを通して喜びの反応を見聞きできることは、非常に嬉しく思っています」
W杯まで1年3カ月を残した中での出場決定。最終予選は残り3試合あり、その後にはEAFF E-1サッカー選手権やキリンチャレンジカップと強化の試合が残っている。
「これから先の強化はどこかというポイントはあると思いますが、全てを上げていかなければいけないと思います。選手は個々の力を、チームとしても攻撃のバリエーションを増やしていく、私自身もチームとしての戦い、より選手を活かしていくための力をつけていかなければいけないと思います」
歴史を見ても圧倒的な強さを見せた最終予選。簡単な試合などなかった中で、この結果を残したことは非常に大きいと言える。
森保監督は「今後に向けて不安はありません」と順風満帆に来ている中でも恐れはないとコメント。「もちろん、自信だけかと言われるとそうでもないですが、自信があってというよりも、現状よりも少しでも進化していく、前進していくということに常にチャレンジしていきたいと思っています」とコメント。「不安というよりも、今やるべきこと、未来に向けてベストを尽くすことをやっていきたいと思っています」と、しっかりと積み上げを続けていきたいとした。
また「日本のサッカーは、我々が最速でW杯の出場権を取れたということで8大会連続で世界一に向けて挑戦できますが、選手たち、スタッフの努力のおかげだと思っていますが、同時に歴史の積み上げの中で、こうやって結果を出せていると感じています」と、試合後にも語っていた日本サッカーの歴史にも感謝。「これまで歴史上で日本のサッカーの発展に貢献してくださった方々が繋げてくれた力で今の我々があると思いますので、今の勝利と今の日本のサッカーの発展を考えながら、それが日本のためになるという志を持って、レベルアップと未来に繋げていくことができればと思います」と、これまでの歴史も背負っていきたいとした。
森保監督はバーレーン戦後に「スタメンだけがレギュラーではない」とコメントしていたが、実際に最終予選ではほとんどスターティングメンバーは固定してきた。
その理由については「まずはこのアジア最終予選でより確実に勝っていくことが大事なので、戦う中で色々なチャンレンジをしてきていますし、これからも色々なチャレンジをしたいと思いますが、チャレンジしすぎて自分たちのペースを乱すということが勝利に繋がらなければ勿体無いことになってしまうので、より確実に勝利を積み上げていけるという流れを見ながら選手起用をさせていただいています」とコメント。「選手たちには常に繋いで勝つということを伝えさせてもらいながら共有してきているので、今後もこの形が続くかどうかは分からないところがあります」と、本大会までの残り試合に関しての采配は変わる可能性もあるとした。
強化をしていく中で気になるのは、新たな選手をどこまでチームに組み込んでいくか。今までのメンバーをブラッシュアップする可能性もある一方で、新たな戦力、成長著しい選手を見出すということも必要になる。
「カタールW杯から北中米W杯に向けて2期目をやらせてもらっていて、データ的に調べてどの程度かわかりませんが、印象的にはカタールW杯を経験したメンバーが今回の北中米W杯に向けても多くの選手が継続して力を発揮してくれて、成長してくれて、チームの中心として戦ってくれているという思いをもっています」
「しかしながら、結果的にそういう印象、継続したチーム作りの印象を持たれるかもしれませんが、私やコーチングスタッフを含めて、候補選手という部分ではニュートラルにJ1リーグ10試合を毎節見て、海外もより多くの選手を見ていくということでは、これまでの考えを持って見るのではなく、よりニュートラルに選手たちを選ばせてもらっています」
「我々が選んでいるというよりも、我々に選ばせている選手たちが代表で活躍してくれているということをいつも感じながら見ています」
「チーム作りにおいては、経験のある選手はどれだけできるかということが計算できる中、今とより未来に向けてというところも若い選手の成長の芽を逃さないように、国内外の日本人サッカー選手の活躍は常にキャッチできるように調べていっているつもりですし、機会があれば、チームの活動に参加してもらいながら、基準を上げてもらい、成長してもらえるように、日本の戦力として加わってもらえるようにということを考えながら、これまでも少なからずやっていますし、これからも継続してやっていきたいと思います」
「ただ、今選んでいる選手たちは、色々な情報を持っている中、こういう選手がいるということを持っていながら、自分が絶対に負けないということを見せ続けてくれている選手が多いと思います」
ハイレベルな競争がある中で、若手や経験の少ない選手は戦っていく必要があると語る森保監督。チェックはしているものの、当然W杯で優勝を目指すチームに相応しい能力があるかどうかが重要になるだろう。
戦力の発掘や更なるレベルアップのための強化試合がある。この先のチーム作りについても、森保監督が語った。
「レベルの高い選手たちが2チーム、3チーム分作れるぐらいの選手層を厚くできるようにしていきたいと思っています。W杯で8試合勝っていくためには、戦っていくためには、高いレベルの選手たちが居て、スタメンでも全ての選手が出場できる、途中から出ても試合を決める、試合を締める、試合をコントロールする等々、局面にあったプレーをしてもらい、チームのギアをさらに上げてくれる同等レベルの選手をチーム作りの中で増やすようにしたいと思います」
「これまでもその意図を持ってチーム作りをしてきているつもりですし、チームとしては色々なチャレンジをしながら、選手層の幅を広げるというところはしていきたいと思います。ただ、試し過ぎて大切にしなければいけないチームの根幹が崩れてしまわないように、大切なことはこれまでやってきたことを積み上げていけることなので、積み上げの中でできるチャレンジで選手を見ていきたいと思います」
また、選手たちには代表の座を自分たちの手で掴んでもらいたいとコメント。経験を積ませるチャンスは与えるものの、そもそもの代表入りには日頃からのアピールが大事なようだ。
「代表は与えられるものではなく、自分たちで掴むものだと思います。経験値の低い選手たちにチャンスを与えることはしなければいけないと思いますが、かなり高いレベルに来てもらわなければ、そのチャンスも掴み取れないと思うので、選手たちの活躍に期待したいと思います」
「選手たちの日常の中で、キャプテンはチャンピオンズリーグに出ていて、5大リーグで激しく、厳しくプレーしなければいけない中で、チャンピオンズリーグを戦う時はホーム&アウェイで8試合連戦になったり、それ以上の連戦になることもあるので、W杯と同じインテンシティ、プレッシャーのかかる中で、日常の戦いをしてくれる選手たちがより多くなることが、代表ではなかなか強化できない中で、選手たちには日常で目指してもらいたいなと思います」
そして、森保監督は自分自身の成長も必要だとコメント。チーム編成を含め、コーチングスタッフも含めて成長していくことが大事だとした。
「より選手たちが高いレベルで挑戦する中で、選手たちの日常の活動をどれだけキャッチできるかというところ。日々の活動の情報収集をしっかりしながら、代表活動にしっかり繋げていかなければいけないので、スタッフとも共有してやっています」
「私自身もレベルアップしないといけないと思っていますし、選手個々へのアプローチ、戦術的なアプローチの幅を広げるという意味で、世界のサッカーを生で観ながら、映像で観ながら、そして選手からも情報をもらいながらレベルアップしていくことが必要だなと思ってきています」
「カタールW杯の後に、チームとしての積み上げをしていかなければいけないという時に、カタールW杯の時のコーチングスタッフの編成で、上野コーチ、横内コーチがそれぞれJリーグの監督になることができました。そこで新たなコーチとして名波コーチ、前田コーチを招聘させてもらい、これまでになかったサッカー勘、トレーニングの部分でもチームに新しい血を入れてステップアップしていきたいと思いました」
「これまでではなく、これからをどう作っていくかを考えて、新しい方々の経験や知識をチームに落とし込んでいただくことと、チーム内だけではなく、チーム外の方々にも色々な刺激をいただきながら、チームが成長していけるように役立てていきたいということで協力をいただいています」