昨シーズンの2位からさらに上を目指す日本ハムが好調だ。オープン戦では3月21日終了時点で現在1位。3月18日の巨人戦では水谷 瞬(石見智翠館)、野村 佑希(花咲徳栄)、清宮 幸太郎(早稲田実)、マルティネスがそれぞれ一発を放つなど、チーム本…

昨シーズンの2位からさらに上を目指す日本ハムが好調だ。オープン戦では3月21日終了時点で現在1位。3月18日の巨人戦では水谷 瞬(石見智翠館)、野村 佑希(花咲徳栄)、清宮 幸太郎(早稲田実)、マルティネスがそれぞれ一発を放つなど、チーム本塁打13本は12球団トップ。開幕を前にして打線が火を吹いている。

 レギュラー確約と言える存在は右翼の万波 中正(横浜)と指名打者のレイエスくらい。開幕4番に指名されている野村もあくまで暫定レギュラーであり、15試合程度の起用がリミットだ。そのなかで結果を残さなければ、以降のポジションが確約されているわけではない。

 ほとんどのポジションで争いが繰り広げられているが、中でも注目すべきは左翼の競争だ。昨年は水谷が台頭したものの、それでもスタメンでの出場試合は75試合。スタメンで起用されたのは水谷を含めて11人おり、外野3ポジションのなかでは最も流動的だった。

 セ・パ交流戦で彗星の如く現れた水谷は最終的に97試合の出場で打率.287(327-94)、9本塁打、OPS.779と文句なしの成績を残した。順当に行けば今年レギュラーの筆頭候補となる。

 実際オープン戦12試合のうち5試合で水谷がスタメン起用されており、最有力候補なのは間違いない。しかし二刀流の矢澤 宏太(藤嶺藤沢)、現役ドラフトで加入した捕手である吉田 賢吾(横浜商大)、その他にも郡司 裕也(仙台育英)、野村、そして松本 剛(帝京)もスタメン起用している。松本は中堅が本職であり五十幡 亮汰(佐野日大)がスタメン時などの起用だろうが、新庄監督は水谷に「レギュラー当確」を与えず最適解を模索中だ。

 その起用に応えるかのように矢澤、吉田、郡司、野村の4人は、他のポジションでの出場も含めて打率3割を超えている。水谷は打率2割だが前述のように3月18日の巨人戦で一発を放つなど2試合連続安打中。スタメン起用はないが、今川 優馬(東海大四)も3月12日のロッテ戦で本塁打を含む2安打を放ち、3月18日の巨人戦では1安打1打点。多くの選手がアピールをきっちり行っている状況だ。新庄監督にとっても頭を悩ませるほどの贅沢な状況だろう。

 振り返ってみると春季キャンプ時に新庄監督は「1番・2番」のパターンを「水谷・松本」のパワー型と「五十幡・矢澤」のスピード型のように複数作ろうとしていた。パワー型だと水谷であり、スピード型だと矢澤のようにそのパターン次第で左翼の人選は変わる。これだけ調子の良い選手が多いとなれば、相手投手との相性や調子によって組み替えてくる可能性も十分にある。

 昨年から「レギュラーを固定したい」と口にしている新庄監督が、複数のバリエーションを作ろうとしているのは、シーズン中の不測の事態に備えたリスクヘッジだろうか。それともブラフが含まれているのだろうか。開幕戦のスタメン、そしてレギュラーシーズンでの起用法が楽しみだ。